駄菓子屋だがしや)” の例文
昔は、こんなものは、駄菓子屋だがしやの景物などに、ただでくれたしろものだが、いまはこんなものでも、買うとなると決して安くないだろう。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
駄菓子屋だがしやの店先などに丸いざるの中に打ち重ねて盛りあげられた南京豆の三角形の紙袋を見ると買わずには通り過ぎることが出来ない位でした。
三角形の恐怖 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とある駄菓子屋だがしやの奥から出て来た古老らしい人が縁先に立って指さしてくれたのは、街道の左側の、小高い段の上に見えるむねの草屋根であった。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
海蔵かいぞうさんが人力曳じんりきひきのたまりると、井戸掘いどほりの新五郎しんごろうさんがいました。人力曳じんりきひきのたまりといっても、むら街道かいどうにそった駄菓子屋だがしやのことでありました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
このとき、あめチョコの天使てんしは、むらへきたのだとおもいました。やがて箱車はこぐるまのふたがいて、おとこははたしてあめチョコをして、むらちいさな駄菓子屋だがしや店頭みせさききました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
荒物屋駄菓子屋だがしやの店先に客引きの意味でかかっている写真の顔が新聞やビラの広告に頻繁ひんぱんに現われる。聞いてみるとそれがみんな活動俳優のいわゆるスターだそうである。
映画時代 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
仕立屋したてや芋屋駄菓子屋だがしや挑灯屋ちょうちんやなぞ昔ながらの職業なりわいにその日の暮しを立てているうちばかりである。
しまいに駄菓子屋だがしやかみさんに、ここいらに小ぢんまりした貸家かしやはないかと尋ねてみました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鑢屋やすりやの子の川島は悠々と検閲を終ったのち、目くら縞の懐ろからナイフだのパチンコだのゴムまりだのと一しょに一束ひとたば画札えふだを取り出した。これは駄菓子屋だがしやに売っている行軍将棋こうぐんしょうぎの画札である。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あいつは破廉恥罪はれんちざいをおかして平気でいます、人の畑のいもを掘る、駄菓子屋だがしやの菓子をかっぱらう、ついこのごろ豆腐屋の折詰おりづめ強奪ごうだつしてそのために豆腐屋の親父おやじ復讐ふくしゅうをして牢獄ろうごくに投ぜられた始末
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
金米糖こんぺいとうという菓子は今日ではちょっと普通の菓子屋駄菓子屋だがしやには見当たらない。
備忘録 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
駄菓子屋だがしやのおかみさんは、あめチョコをりあげながら
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)