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顧慮
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こりょ
ふりがな文庫
“
顧慮
(
こりょ
)” の例文
政党政派の関係があらゆる商売取引に
浸潤
(
しんじゅん
)
し、政党への
顧慮
(
こりょ
)
なくしてはいかなる商売も成立しなかったことが、ひとつである。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
自分がどのくらい津田に愛されているかを、お秀に示そうとする努力が、すべての
顧慮
(
こりょ
)
に打ち勝った。彼女はありのままをお秀に物語った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを
他人
(
たにん
)
に知られたら、ひきょうな
立合
(
たちあ
)
いといわれて、
徳川家
(
とくがわけ
)
の名をけがすことになるが、いまはそんなことを
顧慮
(
こりょ
)
していることはできない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我身に危険さえなければ、仮令相手が見ず知らずの人間であろうと、三郎はそんなことを
顧慮
(
こりょ
)
するのではありません。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
主として神祇官系統の文献に
依
(
よ
)
り、別に文字以外に伝わるものを、
顧慮
(
こりょ
)
しなかった学風からであろうが、一方はまた制度の統一、言い換えれば或る一国の完備した制度文物に
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
私がそれまで昔の
恋人
(
こいびと
)
に対する一種の
顧慮
(
こりょ
)
から、その物語の裏側から、そして
唯
(
ただ
)
、それによってその
淡々
(
たんたん
)
とした物語に或る物悲しい
陰影
(
ニュアンス
)
を
与
(
あた
)
えるばかりで満足しようとしていた
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「司令官の御心配は、近くに起る太平洋方面からの襲撃を
顧慮
(
こりょ
)
されてのことじゃ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
色を売りて、人に
媚
(
こ
)
びるを商売にしている。彼らは
嫖客
(
ひょうかく
)
に対する時、わが容姿のいかに相手の
瞳子
(
ひとみ
)
に映ずるかを
顧慮
(
こりょ
)
するのほか、何らの表情をも
発揮
(
はっき
)
し得ぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の意志が
容
(
い
)
れられたし、師のことばに、親切も感じられたからである。そして典膳との勝負については、何の
顧慮
(
こりょ
)
なく、勝つものと、極めているらしかった。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、低能者の悲しさに、何を
顧慮
(
こりょ
)
する
暇
(
いとま
)
もなく、懐しきその者の膝へと飛びついて行ったのだ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
小林はまたそんな事を
顧慮
(
こりょ
)
する男ではなかった。秩序も段落も構わない彼の話題は、
突飛
(
とっぴ
)
にここかしこを
駈
(
か
)
け
回
(
めぐ
)
る代りに、時としては
不作法
(
ぶさほう
)
なくらい一直線に進んだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何のその様な
顧慮
(
こりょ
)
もなく、成否は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、一つの目的を定め得た事が、やや私の気分を
清々
(
すがすが
)
しくしたのであったか、足並みも勇ましく、初夏の郊外を、電車の駅へと急いだのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
敵の
雑兵
(
ぞうひょう
)
をも相手にして雑兵の如き奮戦すら敢えてした。「名もなき者に首を取られんことの口惜し——」などという生やさしい名聞などは彼の
顧慮
(
こりょ
)
するところでない。——死のうは
一定
(
いちじょう
)
だ。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君は少しも
顧慮
(
こりょ
)
する
気色
(
けしき
)
も見えず
醇々
(
じゅんじゅん
)
として頭の悪い事を説かれた。何でも去年とか一度卒倒して、しばらく
田端辺
(
たばたへん
)
で休養していたので、今じゃ少しは好いようだとかいう話しであった。
長谷川君と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、自分の身分に
顧慮
(
こりょ
)
しながらも勇気をふるって
窘
(
たしな
)
めた者がある。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いささかの
顧慮
(
こりょ
)
もなく、この相川堤まできて、ひとり久しぶりの旅心地にわれともなく
佇
(
たたず
)
んでいたところを、不意に、その於通に
面
(
めん
)
とむかって
違約
(
いやく
)
をなじられたのであるから、五十をこえた男の彼が
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わしの事など、少しも
顧慮
(
こりょ
)
いたすな。さあさあ、はやく行け」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顧
常用漢字
中学
部首:⾴
21画
慮
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“顧”で始まる語句
顧
顧客
顧眄
顧盻
顧雍
顧問
顧見
顧視
顧念
顧成