トップ
>
露地
>
ろじ
ふりがな文庫
“
露地
(
ろじ
)” の例文
住居蔵の裏が、せまい
露地
(
ろじ
)
ひとつへだてて、そばやの飛離れた
納屋
(
なや
)
があったので、お昼過ぎると陰気なコットンコットンがはじまる。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
午
(
ひる
)
を過ぎても、墨江は帰らなかった。これは
放
(
ほ
)
っておけないと賛五郎は考え出し、大小を落すと着流しのまま、家の
露地
(
ろじ
)
から出て行った。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なんとか助かるものなら人のおなさけにすがっても、助けてやりたいと思い、心を鬼にして、ある
露地
(
ろじ
)
に棄ててしまったのです
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
はじめさんの家では廓外との出入りには、やはり黒助湯の
露地
(
ろじ
)
にある炭屋の土間を通行させてもらっていた。そこから炭を買っていたからであろう。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
次の日の
午時頃
(
ひるごろ
)
、浅草警察署の手で、今戸の橋場寄りの或
露地
(
ろじ
)
の中に、吉里が着て行ッたお熊の
半天
(
はんてん
)
が
脱捨
(
ぬぎすて
)
てあり
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
門口
(
かどぐち
)
から右へ折れると、
他
(
ひと
)
の
塀際
(
へいぎわ
)
伝いに石段を三つほど
上
(
あが
)
らなければならなかった。そこからは幅三尺ばかりの
露地
(
ろじ
)
で、抜けると広くて
賑
(
にぎ
)
やかな通りへ出た。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ここ瓦町の
露地
(
ろじ
)
の奥、諏訪栄三郎の留守宅にも、それにおとらない、凄じいひとつの争闘が開始されていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
牡山羊は大抵、狭い
露地
(
ろじ
)
の奥や、薄暗い瀬戸合いの突き当りで、壁に低く頭をぶっつけながら、慌てふためいて後脚ではねている姿を誰かに発見されるのが常である。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
墜死の現場はこのデパートの裏に当る東北側の
露地
(
ろじ
)
で、血痕の凝結したアスファルトの道路の上には、附近の店員や労働者や早朝の通行人が、建物の屋上を見上げたり
デパートの絞刑吏
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
この
界隈
(
かいわい
)
で有名な、そして自分もよく知っている売春婦が、こうしてどこからか見慣れぬ男を引っ張ってきて、これからそこらの
露地
(
ろじ
)
の暗い隅へでも隠れようとしているのだから
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
そういってひょいと
露地
(
ろじ
)
にはいろうとするのです。それを見た私はなんの気なしに
歪んだ夢
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
茶器を持ち込む前に洗ってそろえておく控えの間(
水屋
(
みずや
)
)と、客が茶室へはいれと呼ばれるまで待っている玄関(
待合
(
まちあい
)
)と、待合と茶室を連絡している庭の小道(
露地
(
ろじ
)
)とから成っている。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
その夜は、ドロレス夫人の宿に泊めてもらうつもりで、この前の
淡
(
あわ
)
い記憶を
辿
(
たど
)
って、見覚えのある
露地
(
ろじ
)
へ入りこんでいった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
蚊
(
か
)
が顔へぶつかってくるような
露地
(
ろじ
)
だった。案のじょうそこへ入ると、薄ぐらい明りのさす
門口
(
かどぐち
)
で、
養父
(
ちち
)
の声がしていた。
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と鋭く叱りつけて、源十郎はそのまま、蔵宿の向う側森田町の
露地
(
ろじ
)
へずんずんはいり込む。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
露地
(
ろじ
)
を入って右側の五軒長屋の二軒目、そこが
阿久
(
おひさ
)
の家で、即ち私の寄寓する家である。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
暗い小庭と不潔な
露地
(
ろじ
)
が網の目のように入りこんでいる陰惨な
一劃
(
いっかく
)
である。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「伺わなくても
露地
(
ろじ
)
の
白牛
(
びゃくぎゅう
)
を見ればすぐ分るはずだが」と、何だか通じない事を云う。寒月君はねぼけてあんな珍語を
弄
(
ろう
)
するのだろうと鑑定したから、わざと相手にならないで話頭を進めた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
待っていると云ったが、清吉は、秀八の後から
尾
(
つ
)
けて行った。
潮
(
しお
)
くさい
漁師町
(
りょうしまち
)
の
露地
(
ろじ
)
へ、彼女は、小走りに入って行った。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし
何故
(
なぜ
)
そんな地名を暗号の上に
掲
(
かか
)
げてあるのだろう? それを考えた時、帆村探偵はハタと行き止りの
露地
(
ろじ
)
につきあたったような気がした。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見ると、
露地
(
ろじ
)
つづきの裏のすぐ
彼方
(
むこう
)
に、
注連縄
(
しめなわ
)
の張り廻してある黒い鍛冶小屋の入口がすぐあった。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「事件の最初、君がアパートの裏口へ廻ったときに、
露地
(
ろじ
)
に何か人影のようなものを
見懸
(
みか
)
けたといったが、あれは男だったか、それとも女だったか、解らなかったかネ」
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なにやら、うまそうに煮えている
匂
(
におい
)
もする。赤ちゃんが泣いている。よぼよぼしたお婆さんが、杖をつきながら
露地
(
ろじ
)
の奥からあらわれて、まぶしそうに、
通
(
とおり
)
をながめる。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
“露地”の意味
《名詞》
露天の土地。
(仏教)煩悩を離脱した世界。
(語義2に因む、元は「路地」)茶室に付属する庭。
(出典:Wiktionary)
“露地”の解説
露地(ろじ)とは茶庭(ちゃてい、ちゃにわ)とも呼ばれる茶室に付随する庭園である。
(出典:Wikipedia)
露
常用漢字
中学
部首:⾬
21画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“露地”で始まる語句
露地口
露地内
露地裏
露地横町