震旦しんたん)” の例文
芳賀博士はこの話を『今昔物語』十巻三十八語のもとと見定められた、その話は昔震旦しんたんの猟師海辺に山指し出た所に隠れて鹿を待つと
内供は、震旦しんたんの話のついで蜀漢しょくかん劉玄徳りゅうげんとくの耳が長かったと云う事を聞いた時に、それが鼻だったら、どのくらい自分は心細くなくなるだろうと思った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
我朝はいふに及ばず、天竺てんぢく震旦しんたんにも是程さほどの法滅有るべしともおぼえず、優填うてん大王の紫磨金しまごんみがき、毘首羯摩びしゆかつま赤栴檀しやくせんだんきざみしも、わづかに等身の御仏なり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
或いは震旦しんたん上代の宝貝の名を知って後に、それを直訳したとも見られようが、わが語のタカラがの「宝」に当るということにも若干の思慮を必要とする。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
天竺てんぢく震旦しんたん古例これいあり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
震旦しんたんから渡って参りました、あの摩利まりの教と申すものだそうで、摩利信乃法師まりしのほうしと申します男も、この国の生れやら、乃至ないし唐土もろこしに人となったものやら
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
震旦しんたんの小説にはよくある話だが、或いは古い昔にセヂの管理、寿命や運勢を附与する力が、ニルヤにあったという信仰から、筋を引いているものとも考えられぬことはない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
姫やわかの顔、女房にょうぼうののしる声、京極きょうごく屋形やかたの庭の景色、天竺てんじく早利即利兄弟そうりそくりきょうだい震旦しんたん一行阿闍梨いちぎょうあじゃり、本朝の実方さねかた朝臣あそん、——とても一々数えてはいられぬ。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大饗おほみうけの引出物に白馬あをうまばかりを三十頭、賜つたこともございますし、長良ながらの橋の橋柱はしばしらに御寵愛のわらべを立てた事もございますし、それから又華陀の術を傳へた震旦しんたんの僧に
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
大饗おほみうけの引出物に白馬あをうまばかりを三十頭、たまはつたこともございますし、長良ながらの橋の橋柱はしばしらに御寵愛のわらべを立てた事もございますし、それから又華陀くわだの術を伝へた震旦しんたんの僧に
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その医者と云うのは、もと震旦しんたんから渡って来た男で、当時は長楽寺ちょうらくじ供僧ぐそうになっていたのである。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
よくものの草紙などに、震旦しんたんから天狗てんぐが渡ったと書いてありますのは、丁度あの染殿そめどの御后おきさきに鬼がいたなどと申します通り、この沙門の事をたとえて云ったのでございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
震旦しんたんまでも伝える事でございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)