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雁皮
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がんぴ
ふりがな文庫
“
雁皮
(
がんぴ
)” の例文
中には
雁皮
(
がんぴ
)
に包んだ白粉と、耳掻き、爪切り、
紅筆
(
べにふで
)
など、艶めかしい小道具の入つてゐるのを、一と通り調べて、そのまゝ、お葉の手に返します。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雁皮
(
がんぴ
)
を横に二つ折りにたたんで綴じたのへ、細筆で細かくロンドンにいる父への手紙を書いていた母の横顔は、なんと白くふっくりとしていただろう。
母
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ところが、
剥
(
そ
)
がれた割れ口を見ると、それに
痂皮
(
かひ
)
が出来ていない。まるで透明な
雁皮
(
がんぴ
)
としか思われないだろう。が、この方は明らかな死体現象なんだよ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
一学は外から呼ばれた声に大きな驚異を持ちながら、筆を、うつしかけたイギリス語の
雁皮
(
がんぴ
)
の帳面の間へはさんで、あわただしく立って窓の障子を押開き
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これはマア一つ話ですがそげな
来歴
(
わけ
)
で、
後日
(
しまい
)
にはそのナメラでも
満足
(
たんのう
)
せんようになって、そのナメラの中でも一番、毒の強い赤肝を
雁皮
(
がんぴ
)
のように薄く切ります。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
雁皮
(
がんぴ
)
と
楮
(
かうぞ
)
と
三椏
(
みつまた
)
と、之が紙料の三位である。是等の三つの繊維に綾なすものが、もろもろの和紙である。
和紙の美
(新字旧仮名)
/
柳宗悦
(著)
対岸には大きな
山毛欅
(
ぶな
)
や
樅
(
もみ
)
が、うす暗く
森々
(
しんしん
)
と聳えてゐた。稀に熊笹が
疎
(
まばら
)
になると、
雁皮
(
がんぴ
)
らしい花が赤く咲いた、湿気の多い草の間に、放牧の牛馬の足跡が見えた。
槍ヶ岳紀行
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その原稿と色や感じのよく似た
雁皮
(
がんぴ
)
鳥の子紙に印刷したものを一枚一枚左側ページに
貼付
(
てんぷ
)
してその下に邦文解説があり、反対の右側ページには英文テキストが印刷してある。
小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それから三条
寺町
(
てらまち
)
まで歩いて、いつもの紙屋で大判の
雁皮
(
がんぴ
)
を十枚と表紙用の厚紙を一枚買い、それを私の日記帳の大きさに
裁
(
た
)
って貰い、
皺
(
しわ
)
にならないように
巧
(
うま
)
く包装して貰って
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは
雁皮
(
がんぴ
)
の
紙縒
(
こより
)
に
渋汁
(
しぶ
)
を引いた一種の糸で、袋のように編んだ物である。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
描いてあるのが
紙本
(
しほん
)
の場合と
絹本
(
けんぽん
)
の場合とで、
薄美濃
(
うすみの
)
とか
雁皮
(
がんぴ
)
などの、じかに貼る肌裏や、中裏、増裏など、それぞれ表に合った性質の紙を使わなければならないし、もちろん
手漉
(
てす
)
きだから
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いずれも
雁皮
(
がんぴ
)
の薄紙に細かく書いて有るのであった。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
山椒
(
さんせう
)
の皮を粉末にしたのに、
胡椒
(
こせう
)
と石灰と、灰と何やら得體の知れぬ南蠻物らしい藥品を混ぜ、
大人
(
おとな
)
の拳固ほどの一丸にして、
雁皮
(
がんぴ
)
に包んだのを相手の面上に叩き付け
銭形平次捕物控:214 鼬小僧の正体
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さし渡し三寸ばかりのお
椀
(
わん
)
と思えば間違いございません、
雁皮
(
がんぴ
)
を細く切ってそれを
紙撚
(
こより
)
にこしらえ、それでキセルの筒を編むと同じように編み上げた品を本格と致しやす
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
林
(
りん
)
青年の手料理だが、新鮮無類の「北枕」……一名ナメラという一番スゴイ
鰒
(
ふぐ
)
の
赤肝
(
あかぎも
)
だ。御覧の通り
雁皮
(
がんぴ
)
みたいに薄切りした奴を、二時間以上も谷川の水でサラシた
斯界極上
(
しかいごくじょう
)
の珍味なんだ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
摂津
(
せっつ
)
の国で特筆しなければならないのは、有馬郡塩瀬村の
名塩
(
なじお
)
で出来る紙であります。古くから「
間合紙
(
まにあいがみ
)
」と呼んでいるもので、
雁皮
(
がんぴ
)
を材料にし、これに細かい泥土をまぜて
漉
(
す
)
くものであります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「大變な匂ひがするよ。それに、半紙に書いた遺書の下手な字と、この
雁皮
(
がんぴ
)
のうまい字とは大變な違ひだ。此方は確かに女の
筆跡
(
て
)
だ。お久良が心覺えに書いたものだらう」
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
羅生門河岸
(
らしやうもんがし
)
の青大將臭せえのとは違つて、大年増から中年増、新造から小娘まで揃ひも揃つたり、箱から出し立ての、
雁皮
(
がんぴ
)
を脱がせたばかりと言つた、
樟腦臭
(
しやうなうくさ
)
い綺麗首が六人
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
雁皮
(
がんぴ
)
に書いて鳥の子で裏打ちし、金襴で装幀した砲術の巻物ではなくて、半面の赤痣を洗い落したお静——いや五年前、
許婚
(
いいなずけ
)
という空しい名を解消する折もなく別れた繁代の
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
隱れた紙入のポケツトから取出したのは、これも薄く小さく疊んだ
雁皮
(
がんぴ
)
で、その上には
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「餘程の腕利きであらうな、八丈の重ね着を一枚の
雁皮
(
がんぴ
)
のやうに斬つてある」
銭形平次捕物控:025 兵粮丸秘聞
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「余程の腕利きであろうな、八丈の重ね着を一枚の
雁皮
(
がんぴ
)
のように斬ってある」
銭形平次捕物控:025 兵糧丸秘聞
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「成程こいつは良い凧だ。第一唸りが良いね、
雁皮
(
がんぴ
)
で念入りの細工だ」
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“雁皮(ガンピ)”の解説
ガンピ(雁皮、学名: Diplomorpha sikokiana)はジンチョウゲ科ガンピ属の落葉低木である。奈良時代から製紙原料として用いられている。別名はカミノキ。
(出典:Wikipedia)
雁
漢検準1級
部首:⾫
12画
皮
常用漢字
小3
部首:⽪
5画
“雁皮”で始まる語句
雁皮紙
雁皮貼
雁皮紙刷
雁皮紙織
雁皮薄葉
雁皮栽培録