“鎮座(ちんざ)” の例文
旧字:鎭座
鹿島の神は、現在茨城県鹿島郡鹿島町に鎮座(ちんざ)する官幣大社鹿島神宮で、祭神は武甕槌命(たけみかづちのみこと)にまします。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
菜の花に気をとられて、踏みつけたあとで、気の毒な事をしたと、振り向いて見ると、黄色な珠は依然として鋸のなかに鎮座(ちんざ)している。呑気(のんき)なものだ。また考えをつづける。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
笑うまいと力(りき)んで口を固く結んでいても、しぜん、ほぐれて、笑い出してしまう。生れつき、笑いの神様がちゃんと胸の中に鎮座(ちんざ)していらっしゃるのだと、福子自身は諦(あきら)めている。
万年青 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
京師(けいし)の、花(はな)を翳(かざ)して過(すご)す上臈(じょうろう)達(たち)はいざ知(し)らず、天下(てんか)の大将軍(だいしょうぐん)が鎮座(ちんざ)する江戸(えど)八百八町(ちょう)なら、上(うえ)は大名(だいみょう)の姫君(ひめぎみ)から、下(した)は歌舞(うたまい)の菩薩(ぼさつ)にたとえられる、よろず吉原(よしわら)千の遊女(ゆうじょ)をすぐっても
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
神田柳原和泉(いずみ)橋の西、七百二本たつや春青柳(あおやぎ)の梢(こずえ)より湧(わ)く、この川の流れの岸に今鎮座(ちんざ)します稲荷(いなり)の社に、同社する狸の土製守りは、この柳原にほど近きお玉が池に住みし狸にて、親子なる由
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
休屋(やすみや)の山(やま)に一座(ざ)且(かつ)聳(そび)えて巌山(いはやま)に鎮座(ちんざ)する十和田(わだ)神社(じんじや)に詣(まう)で、裏岨(うらそば)になほ累(かさな)り累(かさな)る嶮(けは)しい巌(いは)を爪立(つまだ)つて上(のぼ)つた時(とき)などは……同行(どうかう)した画工(ゑかき)さんが、信(しん)の槍(やり)も、越(えつ)の剣(つるぎ)も、此(これ)を延長(えんちやう)したものだと思(おも)へ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)