金輪こんりん)” の例文
そして後醍醐には隠岐脱出いらい、いよいよ意気おさかんで、大山だいせんの祈祷の壇に、みずから護摩ごまいて七日の“金輪こんりんほう”を修せられ
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その翌朝早く眼が覚めて窓の辺から外を眺めると、雪山の間から登りました旭日あさひの光が大塔だいとう金輪こんりんに映じて居る様は実に美しいです。また一首
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
金輪こんりん上人度々御逢被成候よし、御次おんついでに宜奉願上候。三瑕之内美僧はうけがたく候。梧堂つてにて御逢被成候ひしや。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
鼓草たんぽぽの花の散るように、娘の身体からだは幻に消えても、その黒髪は、金輪こんりん、奈落、長く深く残って朽ちぬ。百年ももとせ千歳ちとせせず、枯れず、次第に伸びて艶を増す。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鬼と見て我を御頼おたのみか、金輪こんりん奈落ならく其様そのような義は御免こうむると、心清き男の強く云うをお辰聞ながら、櫛を手にして見れば、ても美しくほりほったり、あつさわずか一分いちぶに足らず、幅はようやく二分ばか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
段右衞門に向ひ是々これ/\重四郎ではない段右衞門殿そんな譯のわからぬ強情がうじやうよしにしろ今奉行ぶぎやう樣のおつしやる通りだ幾等いくら其方そなたかくして白状ねばとていのちつながる事は金輪こんりんざいありねへそれ迚も三五郎と申合したかは知ねヱが今となつては未練みれんな男だまことくるしみをしみの人間にんげんだなア掃部や藤兵衞茂助の二人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
昔の金輪こんりんを転じたところの徳を備えた大王といえども及ばぬ程の徳をもって居られるお方である。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
狂詩のごとしと被仰下候へども、中々おもしろく候。花月何論価高下、只賒美酒斗十千と次かけ候へ共、かみの方出来かね候。かくうちには出来可申か。高滝子たかたきし金輪こんりんへ参候由、総介とは誰か。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)