金庫かねぐら)” の例文
鴻池本家こうのいけほんけほかは、大抵金庫かねぐらを破壊せられたので、今橋筋には二分金にぶきんが道にばらいてあつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
向後きょうこう悪事はいたさぬと改心をしたが、肝腎の金庫かねぐらが無くなって見ると、玄石殆んど路頭に迷う始末だから、已むを得ず幸いに天網てんもうのがれてる貴公達へ、御頼談ごらいだんに及んだのさ
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
聞て彦兵衞大いに後悔こうくわいなし道理だうりこそ佐竹家の敗軍はいぐん心にかなはず仕方こそ有るべしと夫より本屋を尋ね天安記てんあんきいへる書物を借出かりいだし隱居の方へ行て咄をするに一向機嫌のなほらぬ樣子なれば彦兵衞も金庫かねぐら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いとなむがうへれは本家ほんけとてもちひもおもかるべくわれとて信用しんよううすきならねど彼方かなた七分しちぶえきあるときこゝにはわづかに三分さんぶのみいへ繁榮はんえい長久ちやうきうさく松澤まつざはきにしかずつはむすめ容色きりやうすぐれたればこれとてもまたひとつの金庫かねぐら芳之助よしのすけとのえにしえなばとほちやうかど地面ぢめん持參ぢさんむこもなきにはあらじ一擧兩得いつきよりやうとくとはこれなんめりとおもこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)