くるわ)” の例文
朝野君、知ってるでしょう。お女郎さん相手の、くるわのなかだけ回っている雑貨屋。はたきとか、お茶碗とか、部屋に飾る人形とか、そんなものを
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
(五) 諸国周遊の途中、孔子はていで弟子にはぐれ、独りくるわの東門に立っていた。鄭人が子貢しこうに告げて言った。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
異国に対して厳酷であるとともに臆病おくびょうであった幕府は、当時長崎在留の異国人の住居を出島でじまくるわ内に禁制するとともに、一方丸山の遊女を毎夜そこにつかわし、はべらしめて
出会であったり! 火独楽ひごま水独楽みずごま双方そうほうぬし、上にひそんでいたものこそ、どうして、いつどこからこの躑躅つつじさきくるわへしのびこんでいたのか、まぎれもあらぬ鞍馬くらま竹童ちくどう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家敷やしきの? くるわを出て城下の町を離れると、俗に千間土堤せんげんどてという堤へ出たが,この堤は夏刀根川とねがわの水があふれ出る時、それをくい止めて万頃ばんけい田圃たはたの防ぎとなり、幾千軒の農家の命と頼む堤であるから
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
それで行きちがくるわの芸人なぞは
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
しかし、躑躅つつじさき平城ひらじろは、厳重げんじゅうをきわめているうえに、さすがはむかし信玄しんげんじしんが縄張なわばりをしたくるわだけあって、あさい外濠そとぼりえて、向こうの石垣いしがきにすがるたよりもなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土手は南北百六けん、三ツのくるわにわかれ、八もん石築いしづき出入でいりをまもられている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)