“万頃”の読み方と例文
旧字:萬頃
読み方割合
ばんけい100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
遠い山々の峰が赤く、万頃ばんけいの波頭が赤く、船は半面を燃えるように赤らめ、人々の顔は羞恥しゅうちの限りのようにまッ赤に色どられた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
何者か因果の波を一たび起してより、万頃ばんけいの乱れは永劫えいごうを極めて尽きざるを、渦く中にかしらをも、手をも、足をもさらわれて、行くわれのはては知らず。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
お光の心は如何様に涼しく感じたであろう。秋になる。万頃ばんけいの蘆一斉にそよいで秋風の辞を歌う。蘆の花が咲く。かりが鳴く。時雨しぐれが降る。蘆は次第に枯れそめる。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)