ゑつ)” の例文
平次はおゑつの後姿が廊下に消えると、踏臺を戸棚の前に持つて行き、硫黄附木いわうつけぎを一枚ともして、念入りに戸棚の上を調べ始めました。
然れどももし道楽以上の貼札はりふだを貼らんとするものあらば、山陽さんやうを観せしむるにかず。日本外史にほんぐわいしかくも一部の歴史小説なり。画に至つてはゑつか、つひにつくねいもの山水のみ。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
えうへいつよくし(一〇六)馳説ちぜい(一〇七)從横しようくわうものやぶるにるなり。ここおいみなみは百ゑつたひらげ、きた陳蔡ちんさいあは(一〇八)しんしりぞけ、西にししんつ。諸矦しよこうつよきをうれふ。
「えゝ——でもおゑつなんか疑つちやいけませんよ。お奉行所へさう申上げれば、あれは御褒美の出る奉公人ですよ」
ガラツ八の手の中に、一と握りになつたのは、見る影もない女、跛足びつこ大燒痕おほやけどの、あの下女のおゑつだつたのです。