たち)” の例文
起上たちあがッて部屋へ帰ろうとは思いながら、ついたちそそくれて潮合しおあいを失い、まじりまじり思慮の無い顔をして面白おもしろくもない談話はなしを聞いているうちに
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
百難たちて彼の進路を妨ぐるといえども彼の確信はごうも動くことなく、ついに麁粗そそながらも英国をして公義と平等とに基する共和国となすに至れり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
今日とりてはしき事をしましたと談次だんじ、先生にわかにたちえんの方にいでらる。
支倉が居間の方へ引下ると、石子刑事は直ぐにたち上って、廊下に出て柱の蔭に隠れるようにしながら、じっと居間の様子を覗った。支倉の着物を着替えている姿が、チラ/\と見え隠れする。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
いのりける所に享保八年十月十一日彌々いよ/\所刑しおきの由幸手宿村役人を以て穀屋平吉へ申わたされ富右衞門妻へも此段申聞られしかば此事を城富は聞よりたちつ居つ心配しんぱい其儘そのまゝ長谷川町の家をし杖を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれども十分とは自分をまたさなかった、彼のたちあがるや病人のごとく、何となく力なげであったが、ったと思うとそのままくるりと後向うしろむきになって、砂山のがけに面と向き、右の手で其ふもとを掘りはじめた。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
会堂にありしものこれをききて大に憤り、たちてイエスをまちの外に出し投下なげおろさんとて、その邑の建ちたる崖にまで曳き往けり。(路加ルカ伝第四章二十八、二十九)
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)