貴殿きでん)” の例文
お聞き済みがなければむを得ざれど、お聞届きゝとゞけ下さればかたじけない、清次殿どうして貴殿きでんは僕が助右衞門殿を殺したことを御存じでござるな
恐入おそれいらせしからは近日事の成就せんと皆々悦ぶ其中に貴殿きでん一人うれひ給ふは如何成仔細に候やとたづねければ山内は成程なるほど各々方には今日越前が恐入しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あはははは、神尾うじ、なア、済んだことは、済んだことではないか——ウウ、今ではナ、却って、わしら一同、貴殿きでんに同情を寄せておるのじゃ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
貴殿きでん尊奉そんぽうなさる越後えちご天鼓流てんこりゅうでは、まだ作事さくじ築工ちっこう時勢じせいおくれのところがあるゆえ、それを逆法と思われるかも知らぬが、自分のしんずる越前えちぜん……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時下じか残暑ざんしょしのぎがたく候処そうろうところ益〻ますます御清穆ごせいぼく御事おんこと存上候ぞんじあげそうろう 却説さて 伯爵様はくしゃくさま折入おりいって直々じきじき貴殿きでん御意得度思召ぎょいえたきおぼしめし被在候間あらせられそうろうあいだ明朝みょうちょう御本邸ごほんてい御出仕可然ごしゅっししかるべく此段申進候このだんもうしすすめそうろう 早々そうそう頓首とんしゅ
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
貴殿あなたが見えられないし、退屈でたまらないから、若党をれて、眺望のい処へ参ろうと思い、この下の谷の処まで来るとこのあんが眼にき、貴殿きでんのことを思いだして
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それをお城の外で使はうと云ふ、遠藤殿の思召おぼしめしが分かり兼ねます。貴殿きでんはどう考へられますか。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
以後両人は、貴殿きでんを、絶対に上官だと思い、服従いたします。
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すれば師匠感應院の後住ごぢうにせんと村中相談一けつしたり左樣に心得こゝろえべしと申渡せば寶澤はうたくつゝしんで承はり答へけるは師匠感應院の跡目あとめ相續致し候樣と貴殿きでん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「あッ、さては貴殿きでんたちも、菊池半助きくちはんすけどのたちと一しょに、あの僧形そうぎょうを京都へつけてこられたおかたで?」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
発狂して切腹致せしとお届けあらば、貴殿きでん御難義ごなんぎはかゝりますまい
以て貴殿きでんめひ小夜衣を身請して御當家へおくとのお約束ゆゑ金子きんすをばお渡し申せしに何故なにゆゑ然樣のことを仰せられ候やと申に長庵大いにいかけしからぬことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いかにも、伊那丸さまのお傅人もりびと、木隠龍太郎という者でござるが、もしや、貴殿きでんは、このなかへ逃げこんだ血まみれなる法師武者ほうしむしゃのすがたをお見かけではなかったか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)