たくはへ)” の例文
此近在の農人のうにんおのれが田地のうちに病鶴やめるつるありてにいたらんとするを見つけ、たくはへたる人参にんじんにて鶴の病をやしなひしに、日あらずやまひいえて飛去りけり。
そは寺院のたくはへは皆神によりて求むる民の物にて、親戚またはさらにいやしき人々の物ならざればなり 八二—八四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
一人ひとり婢女はしためも去りて、すこしのたくはへもむなしく、其の年も暮れぬ。年あらたまりぬれどもなほをさまらず。
「我を救ひ玉へ、君。わが恥なき人とならんを。母はわが彼の言葉に従はねばとて、我を打ちき。父は死にたり。明日あすは葬らではかなはぬに、家に一銭のたくはへだになし。」
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
鳥越とりごえに世帶を持つて、たくはへの小金を融通し、利潤が積つてかなりの身代を作りましたが、今から三年前他界、世帶はそのまゝ總領の宗太郎が繼いで僅か三年の間乍ら、酒や女はもとより
くるわにてわかい者と云私し宅に五ヶ年の間相勤あひつとめます中少しも後暗あとくらきこともなく實に正直しやうぢき正路しやうろの者なりと言ければ大岡殿は其傳吉事奉公ほうこう中給金其外にて百五十兩程たくはへ其元そのもとへ預け歸國の節持返もちかへりしと申が然樣成や四郎左衞門如何にも五ヶ年の内にわたくしへ百廿兩あづけ置歸國のせつ其金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此近在の農人のうにんおのれが田地のうちに病鶴やめるつるありてにいたらんとするを見つけ、たくはへたる人参にんじんにて鶴の病をやしなひしに、日あらずやまひいえて飛去りけり。
雪中だい一の用具ようぐなれば、山中の人これを作りてさとうる家毎いへごとたくはへざるはなし。雪を状態ありさまにあらはしたるがごとし。
たくはへたる菓子くわしをかの三人の娘にもとらせければ、三人こしかけて箕居ふみはだかりあしはひのなかへふみ入れめづらしがりてくわしをくらふ。