貫目かんめ)” の例文
さしたる貫目かんめも持ちあわさぬくせに、なにかにつけて差し出で、おしつけがましく取り仕切る癖があるのは、勘弁なりかねる。
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
職務の分量にとどまらずして職務の品性ひんせいをよくせよというのである。十貫目かんめ荷物にもつになうものに、務めて荷物十一貫目を荷えというのでない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
蟹十郎かにじゅうろうの吾太夫は寿美蔵の師匠張より見好きも、貫目かんめに乏しく、翫太郎の道庵ははまり役にて好し。小由の桜茶屋女房は松之助のおもかげあれど、つんけんし過ぎたり。
暴食のくせなどもほとんせたせいか、健康もずっと増し、二十貫目かんめ近い体に米琉よねりゅう昼丹前ひるたんぜん無造作むぞうさに着て
是が非でも押し付けて一旦は自説を貫かねば老中の貫目かんめにも係わるというもの、もっとも先祖忠秋ただあき以来ちと頑固に出来てもいたので、他人なら笑って済ますところも
北斎と幽霊 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かんがえてもねえ。これがきんぼうけずったこなとでもいうンなら、ひろいがいもあろうけれど、たかおんなつめだぜ。一貫目かんめひろったところで、瘭疽ひょうそくすりになるくれえが、せきやまだろうじゃねえか。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
が、貫目かんめというものは争われない。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
これに反し、張りきっておって、二十貫目かんめの力を二十貫目始終しじゅう手先きや足先きに現す者は感心はするけれども、吾人ごじんの深い尊敬にあたいしない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
権十郎ごんじゅうろうの真柴久次、持前の疳癖かんぺきの強き殿様なれば評よし。秀調しゅうちょうの淀の方、貫目かんめは確なり。小団次の矢田平、思切おもいきって派手にこなしたれば、役者だけのことはありたり。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
もしその十分の一の力を発揮はっきしえたなら、おそらく今日十五、六貫目かんめの我々の五体をもって、米の四、五ひょう朝飯前あさめしまえに二、三里の道を運搬うんぱんすることができよう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)