かはり)” の例文
新字:
それがまた新に青くなつて、一樣になつて、歸り來る時、葉の裁方たちかたにまでかはりが無い、白楊の葉はしんの臟、橡の樹のはてのひら篠懸すずかけの樹のは三叉みつまたほこの形だ。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
現今の東京はさながらイカサマ紳士の徒に邸宅の門戸を大にして愚民を欺き驚すものとかはりがない。こゝに居住する市民の年々野卑暴戻となるは當然の事であらう。
十年振:一名京都紀行 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
としつたとつたところで四十二三ですもの、人間にんげん働盛はたらきざかりです。精神せいしん意氣いきかはりのあるはずもないのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
思ふ事貴賤きせん上下の差別さべつはなきものにて俚諺ことわざにも燒野やけの雉子きゞすよるつるといひて鳥類てうるゐさへ親子の恩愛おんあいにはかはりなしかたじけなくも將軍家には天一坊はじつの御愛息あいそく思召おぼしめさばこそかく御心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それでは、せめて、君の愛する其顏だけでも、其儘かはりなくまたと眺められるだらうか。悲しいことには、さういかない。或は思做おもひなしでさうとだまされることはあつても、はかない心の試に過ぎぬ。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
ぬすみ取候に相違さうゐは有まじと申されければ小猿は顏色がんしよくかはりて俯向居たるに仁左衞門は莞爾につこと笑ひ何樣世の人賢奉行けんぶぎやうたゝまゐらする程有て御明察の通り私共儀享保十一年十月萬澤の御關所せきしよ手前てまへやすみ居候處に原澤村の大盡夫婦にて廻道まはりみちせしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)