とな)” の例文
となえたから虎う森の樹株に固着ひっついて人の頭を嫌いになれ、後脚に土重く附き前足に石重く附いて歩けぬようになれ、かく身を重くする呪を
何かをとなえてるのが見てとられた。オリヴィエはその枕頭ちんとうに来て、彼女の上に身をかがめた。彼女はまだ彼を見分けて、弱々しく微笑ほほえみかけた。
「グレートヘンや、も一度見てきておくれ。いっそのことすっかり消しておしまいよ。みんな、こっちへおいで、一緒にヨハネ福音書をとなえましょう。」
したがって昔から、一般にこの般若の四句の呪文は、何がなしに、ありがたい功徳があるというので、そのまま翻訳せずに、信じ且つとなえていたのです。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
おっしゃって、いまは、透き通るようなお手をお組みなされ、しばらく無言でいらっしゃる、お側へツッして、平常ふだん教えて下すった祈願いのりの言葉を二た度三度繰返してとなえるうち
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
ふもとからこうやって一里ばかりも来たかと思うと、風も清々すがすがしい薬のがして、何となく身にむから、心願しんがんがあって近頃から読み覚えたのを、となえながら歩行あるいているんだ。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そう云ってダーシャは、鎮魂の祈りをとなえ胸の上で十字を切った。ダーシャは字を知らない女であった。日曜の溌剌とした人波を見ていて、朝子はこのこともよく思い出した。
おもかげ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
先刻さっきあの悲鳴を聞いた瞬間に、「仙太め、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ!」と口の中でとなえた程だ。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さうして今、私は、それでは十分ではないと感じたのである。私は、八年の間の慣例ならはしに、たつた半日であき/\してしまつた。私は自由を欲した。自由にあへいだ。自由の爲めに祈をとなへた。
これをとなえただけでも無明の煩悩まよいをとり除いて、さとりを開くことができるのです。「即身そくしん法如ほうにょを証す」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
*6 めでたし、聖寵充滿みちみてるマリア——母親が念珠をくりながら下記の天使祝詞(Ave Maria)をとなえているのである。——めでたし、聖寵充滿てるマリア、主御身と共にまします。