おもかげ
睡りからさめるというより、悲しさで目がさまされたという風に朝子はぽっかり枕の上で目をあけた。 夏のおそい午前の光線が、細長くて白い部屋の壁の上に窓外の菩提樹の緑をかすかに映しながら躍っている。その小さい部屋に湛えられている隈ない明るさと静寂 …
題名が同じ作品
おもかげ (旧字旧仮名)堀辰雄 (著)