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誠忠
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せいちう
かゝりけれども
猶ほ一
片誠忠の
心は
雲ともならず
霞とも
消えず、
流石に
顧りみるその
折々は、
慚愧の
汗背に
流れて
後悔の
念胸を
刺つゝ、
是は
魔神にや
見入れられけん、
有るまじき
心なり
取られ兩人の
丹精忝けなく思ふなり
予が
家來とは思はぬぞや
迚夫より伊豆守殿より
使者に
預り
捨置難ければ
親子三人
覺悟なし只今既に忠右衞門
切腹するの所ろ兩人の
歸着こそ
神佛の
加護とはいへ全たく
誠忠の致す所なりと
物語られ
悴忠右衞門一代は兩人を