かたり)” の例文
席上の各々方おのおのがた、今や予が物語すべき順番の来りしまでに、諸君がかたり給いし種々くさぐさの怪談は、いずれも驚魂奪魄きょうこんだっぱく価値あたいなきにあらず。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
岩居がんきよかたりいはく、今をさる事五十余年ぜん天明のしよ年大阪にて家僕かぼく四五人もつかふほどの次男とし廿七八ばかり利助といふもの、その身よりとしの二ツもうへの哥妓げいしやをつれて出奔しつほん
既に大學を卒業し、浪花節かたりと藝術家とをひつくるめて政策の具に供しようとする大臣と膝組で、演劇の改良をはかる久保田君の如きは、當然大學者だと思はれてゐるに違ひない。
エキステルが隣の卓なる一人の肩をちて、何事をかかたりゐたるを呼びて
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
サアそれからいろ/\な事をかたり出して
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
木の葉をかえるにもするという、……君もここへ来たばかりで、ものかたりの中の人になったろう……僕はもう一層、その上を、物語、そのものになったんだ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
岩居がんきよかたりいはく、今をさる事五十余年ぜん天明のしよ年大阪にて家僕かぼく四五人もつかふほどの次男とし廿七八ばかり利助といふもの、その身よりとしの二ツもうへの哥妓げいしやをつれて出奔しつほん
老人、あの当時、……されば後月あとつき、九月の上旬。上野辺のある舞台において、初番に間狂言あいきょうげん那須なすかたり。本役には釣狐つりぎつねのシテ、白蔵主はくぞうすを致しまするはず
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その中に一人のわらべいへにかへりこと仔細しさいおやかたりけるに、此親このおや心ある者にてその所にいたり火の形状かたちを見るに、いまだきえざる雪中にを入るべきほどのあなをなしあなより三四寸の上に火もゆる。
女房はかたり続けた——
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)