言附いひつ)” の例文
こゝに名前なまへいてある人達ひとたち見附みつけていと言附いひつかったが、書手かきて如何樣どのやう名前なまへきをったやら、こりゃ一かう見附みつからぬわい。學者ものしりところかにゃならぬ。
午食すまして荷運びの赤帽あかばう二人を雇ひ、第一の部屋に行つて荷を運び、第二の部屋に運ぶやうに言附いひつけ、上さんに南京虫の談合をすると、『あなたが旅舎ホテルから持つて来たのだらう』
南京虫日記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
これは母が、晝の内使ひ歩きなぞに出すために、賄の婆さんに世話をして貰つて、近所から傭つて貰つた女の子である。口の聞き方を知らないのが恥かしくてか、母が用事を言附いひつける時に
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
さききてもるかきかれませねばなににてもよしくるまたのみなされてよとにはか足元あしもとおもげになりぬあの此樣こんくるまにおしなさるとかあの此樣こんくるまにと二度にど三度さんどたかかろ點頭うなづきてことばなしれも雪中せつちゆう隨行ずゐかう難儀なんぎをりとてもとむるまゝに言附いひつくるくだんくるまさりとては不似合ふにあひなりにしき上着うはぎにつゞれのはかまつぎあはしたやうなとこゝろ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)