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ゆきぬ
成るたけ
順礼を
遠くよけて、——
最う
人気配に
後へ
振向けた、
銀杏返の
影法師について、
横障子を
裏へ
廻つた。
店は
裏へ
行抜けである。
……私が覚えてからも、むかし道中の茶屋
旅籠のような、中庭を
行抜けに、土間へ腰を掛けさせる
天麩羅茶漬の店があった。
で、
直ちに
木材を
伐更めて、
第二の
像を
刻みはじめた。が、
又此の
作に
対する
迫害は
一通りではないのであつた。
猫が
来て
踏んで
行抜ける、
鼠が
噛る。
やがて
停車場へ出ながら
視ると、
旅店の裏がすぐ
水田で、
隣との
地境、
行抜けの処に、花壇があって、牡丹が咲いた。竹の垣も
結わないが、遊んでいた
小児たちも、いたずらはしないと見える。
この裏を
行抜けの正面、霧の
綾も遮らず目の届く処に角が立った青いものの
散ったのは、一軒飛離れて
海苔粗朶の垣を小さく結った小屋で
剥く貝の殻で、その
剥身屋のうしろに、薄霧のかかった中は