薬売くすりうり)” の例文
旧字:藥賣
つねつてもたしか活返いきかへつたのぢやが、それにしても富山とやま薬売くすりうりうしたらう、様子やうすではとうになつて泥沼どろぬまに。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だから幹子さんをいまに薬売くすりうりにするんだわ。ほら、よく薬売があんな大きな蝙蝠傘をさして来るでしょう。
大きな蝙蝠傘 (新字新仮名) / 竹久夢二(著)
とほく来りたるものは宿をもとむるもあれば、家毎いへごとに人つどひ、香具師かうぐし看物みせもの薬売くすりうり弁舌べんぜつ、人の足をとゞめてきりたつべき所もあらぬやう也。此初市の日は繁花はんくわの地の喿饒にぎはひにもをさ/\おとらず。
毎年のように、他国から薬売くすりうりがこの村に入って来たものだ。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
上を見ながら、これへ足を踏懸ふみかけた時、以前の薬売くすりうりがすたすたやって来て追着おいついたが。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うへながら、これあし踏懸ふみかけたとき以前いぜん薬売くすりうりがすた/\つて追着おひついたが。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何処どこまでもひとしのいだ仕打しうち薬売くすりうり流盻しりめにかけてわざとらしうわし通越とほりこして、すた/\まへて、ぬつと小山こやまのやうなみち突先とつさき蝙蝠傘かうもりがさしてつたが、そのまゝむかふへりてえなくなる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)