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蔓延
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はびこ
ふりがな文庫
“
蔓延
(
はびこ
)” の例文
池のなぎさは
微
(
かす
)
かにわかるが、藤棚から藤のつるが思いのまま
伸
(
の
)
び
蔓延
(
はびこ
)
っているし、所々には、
亭々
(
ていてい
)
たる大樹が二重に空を
蔽
(
おお
)
っている。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
利に
聡
(
さと
)
い商人たちはこれにつけ込みましたから、非常な早さで
蔓延
(
はびこ
)
りました。そのため手間のかかる本藍はこれに立ち向うことが
難
(
むずか
)
しくなりました。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
混凝土の
泥溝
(
どぶ
)
をもった道路が、青い雑草の中に砂利の直線で碁盤縞に膨れあがった。碁盤目の中には、十字に
椹
(
さわら
)
の
籬
(
まがき
)
が組まれた。雑草は雨毎に
蔓延
(
はびこ
)
って行った。
都会地図の膨脹
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「南蛮仏とも言うよ。昔
切支丹
(
きりしたん
)
が
蔓延
(
はびこ
)
っていた時、お上の眼を
免
(
のが
)
れて、これを本尊にしていたんだ。観音様と見せかけて、実は切支丹のサンタ・マリア様だよ」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼
(
か
)
れ目の前に
青緑
(
みどり
)
を
呈
(
あら
)
わし、その枝を園に
蔓延
(
はびこ
)
らせ、その根を
石堆
(
いしづか
)
にからみて石の家を眺むれども、もしその処より
取除
(
とりのぞ
)
かれなばその処これを認めずして、我は汝を
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
▼ もっと見る
そこには
小
(
ち
)
さい岩が多少の
凸凹
(
とつおう
)
を描いて一面に
連
(
つら
)
なる間に、
蒼黒
(
あおぐろ
)
い
藻草
(
もくさ
)
が限りなく
蔓延
(
はびこ
)
っていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なるほど巫女の云った通り、小気味の悪い悪人どもが到る所に
蔓延
(
はびこ
)
っているわい」——油断は出来ぬと心を引き締め、
松火
(
たいまつ
)
の火を打ち振り打ち振り紋太夫は進んで行く。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
俗に鉄道草と
称
(
とな
)
える仕末に負えない雑草が垣根の
隅
(
すみ
)
に一ぱい枯残っていた。それを抜取るだけでも、三吉はウンザリして
了
(
しま
)
った。その他の雑草で
最早
(
もう
)
根深く
蔓延
(
はびこ
)
っているのも有った。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一度は天保の
饑饉
(
ききん
)
のときにこの尾根一ぱいに
野老芋
(
ところ
)
が
蔓延
(
はびこ
)
って、村民はこれを掘って餓えを凌ぐことが出来たという。また、餅に混ぜて食えば食われる土が岩層の間から採れたともいう。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
偃松の尽きたときは頂に上ったときだ、天に近づくときの最後の木は、生物の最も執拗に踏み
止
(
とど
)
まった最後の健児で、彼等は自由に生れて遠慮なく
蔓延
(
はびこ
)
る、星が隠れると殆んど同時に交代して
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
第八章 世に
蔓延
(
はびこ
)
る者は憎まる
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
僕は寝つかれないで負けている自分を
口惜
(
くや
)
しく思った。電灯は蚊帳を釣るとき消してしまったので、
室
(
へや
)
の中に
隙間
(
すきま
)
もなく
蔓延
(
はびこ
)
る
暗闇
(
くらやみ
)
が窒息するほど重苦しく感ぜられた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あの意味はこうよ、こうなのよ——天のように偉かった支那の国に、古い大木が
蔓延
(
はびこ
)
って、支那の国を蔽うたので、日光を透すことが出来なかった。そのうちにその日が沈んでしまった。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
雑草が
蔓延
(
はびこ
)
った。その根がまた固くて容易に抜けなかった。そのために稲はひどく威勢を
殺
(
そ
)
がれた。のみならず、
開花期間
(
はなどき
)
もやっぱり煤煙が降り続いたので、風媒花の稲は滅茶滅茶だった。
黒い地帯
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
今後も無数の醜いものが作られるであろう、小さな自我や慾や分別が
蔓延
(
はびこ
)
る限りは。しかし私たちは望みを抱いてよい。仏が正覚を果したということを信じてよい。彼の大きな
弘誓
(
ぐせい
)
を信じ切ってよい。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
心臓形をした
雪下
(
ゆきのした
)
の葉もその
周囲
(
まわり
)
に
蔓延
(
はびこ
)
っている。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
世に
蔓延
(
はびこ
)
る者は憎まる
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「行く道々悪者どもが
蔓延
(
はびこ
)
っているそうでございます」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“蔓延”の意味
《名詞》
蔓 延(まんえん)
植物の蔓が伸び広がること。
病気や悪習が広まること。
(出典:Wiktionary)
蔓
漢検準1級
部首:⾋
14画
延
常用漢字
小6
部首:⼵
8画
“蔓延”で始まる語句
蔓延中
蔓延繁茂