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荷足
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にたり
ふりがな文庫
“
荷足
(
にたり
)” の例文
旧来の
伝馬船
(
てんません
)
や
荷足
(
にたり
)
ではなく、新式の舶来の蒸気船だ、蒸気船を山へ積み込むとは、なるほどこのごろの徳川幕府のやりそうなことだ
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
竹屋の渡しあたりを川上へいそぐ小舟が見えるほかは、広い川面に珍しく
荷足
(
にたり
)
も動かず、
鴎
(
かもめ
)
の飛ぶようすもなかった。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
荷足
(
にたり
)
、小舟の類の帆を張り
艫櫂
(
ろかい
)
を使ひて上下するのみなれば、閑静の趣を愛して夏の日の
暑熱
(
あつさ
)
を川風に忘れんとするの人等は、大橋以西、製紙所の上
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
大根河岸は、露を載せた野菜の
荷足
(
にたり
)
とその場で売買いする市場とで、ようやく喧嘩のようにざわめき出していた。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
最後に川の上を通る船も今では
小蒸汽
(
こじようき
)
や
達磨船
(
だるまぶね
)
である。
五大力
(
ごだいりき
)
、
高瀬船
(
たかせぶね
)
、
伝馬
(
てんま
)
、
荷足
(
にたり
)
、
田船
(
たぶね
)
などといふ大小の和船も
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
流転
(
るてん
)
の力に押し流されたのであらう。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
不意をくらって、四人の役人は船頭もろとも、もろに川なかへ投げだされ、御用船のほうは上り下りの
荷足
(
にたり
)
の
狭間
(
はざま
)
へはさまって
退
(
の
)
くも引くもならなくなってしまった……
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
さしも両国名物の川開きにも
荷足
(
にたり
)
や伝馬、ダルマ船まで幅を利かせ、上流客は銀行会社の招待連と束になって料理屋のお二階、門前は自動車の押合いに暑苦しい時代風景
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
お秀の船宿は父親が生きている七八年前、素人の間に釣が流行り出した時分が全盛で、田舟十五六ぱいの外に
荷足
(
にたり
)
が三艘、それに中古のモーター船もその時代に買入れました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
舁夫はもんどりを打ってドブりと仙台河岸へ落ると、
傍
(
そば
)
に一艘の
荷足船
(
にたりぶね
)
が
繋
(
つな
)
いで居りまして、此の中に居たものは
伊皿子台町
(
いさらごだいまち
)
の
侠客
(
おとこだて
)
で
荷足
(
にたり
)
の
仙太
(
せんた
)
という人で、力は五人力有って
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忙
(
せわ
)
しいモオタアや川蒸気や
荷足
(
にたり
)
の往来が、すでに水の上に
頻繁
(
ひんぱん
)
になっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
水面
(
みのも
)
には
荷足
(
にたり
)
の暮れて呼ぶ声す、太皷ぞ鳴れる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そこで私は、橋や
荷足
(
にたり
)
を見残しながら
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
今宵あれらの水びたしの
荷足
(
にたり
)
は
橋の上の自画像
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
空手
(
むなで
)
、——
荷足
(
にたり
)
のたぶたぶや
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
満潮と一緒に大根河岸へ上ってくる
荷足
(
にたり
)
の一つに、今朝は
歳末
(
くれ
)
を当て込みに宇治からの着荷があるはずなので、いつもより少し早目に起き出た荷方の仙太郎は
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
猪牙
(
ちょき
)
で行くのは深川通い、八丁堀の仲ノ橋から乗合の
荷足
(
にたり
)
舟、「早船・洲崎ゆき」と書いた川岸の小旗が目印、十二、三人の客を待つ間に「出ますよ出ますよ」とベルを鳴らす。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
「いま舟が来ます」とすぐそこに繋いだ
荷足
(
にたり
)
船の上から、船頭らしい男が云った。
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
五大力、高瀬船、
伝馬
(
てんま
)
、
荷足
(
にたり
)
、田舟などという大小の和船も、何時の間にか流転の力に押し流されたのであろう。僕はO君と話しながら「沅湘日夜東に流れて去る」という支那人の詩を思い出した。
本所両国
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
両側は崩れ放題の
亀甲石垣
(
きっこういしがき
)
、さきは
湊橋
(
みなとばし
)
でその下が
法界橋
(
ほうかいばし
)
、
上流
(
かみ
)
へ上って
鎧
(
よろい
)
の渡し、藤吉は
眇眼
(
すがめ
)
を凝らしてこの方角を眺めていたが、ふと小網町の河岸縁に真黒な
荷足
(
にたり
)
が二
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
荷
常用漢字
小3
部首:⾋
10画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“荷足”で始まる語句
荷足船
荷足舟