草餅くさもち)” の例文
草餅くさもちが出来た。よもぎは昨日鶴子が夏やと田圃たんぼに往ってんだのである。東京の草餅は、染料せんりょうを使うから、色は美しいが、肝腎かんじんの香がうすい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この北の海にも春らしい紫色の濛靄もやが沖に立ちこめ、日和山の桜のこずえにもつぼみらしいものが芽を吹き、頂上に登ると草餅くさもちを売る茶店もあって
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
淡雪の後の道をびしょびしょ歩みながら、「草餅くさもちはいりませんか」と呼んで来る女の声を聞きつけるのは嬉しい。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まめもち草餅くさもち砂糖餅さたうもち昆布こんぶ切込きりこみたるなど色々いろ/\もちき、一番いちばんあとのうすをトンととき千貫せんぐわん萬貫まんぐわん萬々貫まん/\ぐわん、とどつ喝采はやして、かくいちさかゆるなりけり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
誰かがベッと、つばいて、そう叫びました。それが聞えたのか、ルナ・アミーバーは、草餅くさもちをふくらませたように、プーッと膨脹ぼうちょうを始め、みるみるうちに、硝子樽ガラスだる一ぱいにひろがりました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
母のなさけ草餅くさもち
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
いよいよ春だ。村の三月、三日にはひなを飾る家もある。菱餅ひしもち草餅くさもちは、何家でも出来る。小学校の新学年。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それをおうちつてかへつてて、うすでつけば草餅くさもち出來できました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)