)” の例文
勘次かんじまた蕎麥そばつたことがあつた。かれ黄蜀葵ねりつなぎにしてつた。かれまたおつぎへ注意ちういをしてくはでさせなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
といっているとき、部屋の中からは、一人の役人が、頭から湯気ゆげを立てて、まるでだこのような真赤な顔で飛び出してきた。
京都人はこれを料理につかう場合には、なまのをでて、それを熱湯のなかから取出すと、いきなりぴしゃりと板の間に投げつけるのを忘れない。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
さて、それから御飯ごはんときぢや、ぜんには山家やまがかうもの生姜はじかみけたのと、わかめをでたの、塩漬しほづけらぬきのこ味噌汁みそじる、いやなか/\人参にんじん干瓢かんぺうどころではござらぬ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「なあーんだって! われわれのうちでだれが金も払わないで、食事をしているというのかね? きみはまるで……」フェルフィーチキンはで蟹のように真っ赤になり
場内は蒸暑さにだるようであった。この美術館の設計はたしかに日本の気候が西洋の気候とちがうという事実を知らないか、無視した人の設計である、といつも思うことである。
二科展院展急行瞥見 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その家の表には門口かどぐち縄暖簾なわのれんを下げた米屋だか味噌屋みそやだかがあった。彼の記憶はこの大きな店と、でた大豆とを彼に連想せしめた。彼は毎日それを食った事をいまだに忘れずにいた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
此辺このあたりの狭い町角では薩摩いもや梨をでて湯気ゆげの立つのを売つて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さて、それからご飯の時じゃ、ぜんには山家やまがこうの物、生姜はじかみけたのと、わかめをでたの、塩漬の名も知らぬきのこ味噌汁みそしる、いやなかなか人参にんじん干瓢かんぴょうどころではござらぬ。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)