花崗岩かこうがん)” の例文
洪水もフランスのうるわしい花崗岩かこうがんを浸食しはしないだろう。流されてきたどろをかきわけて、僕は君にその花崗岩をさわらしてあげよう。
彼女は花崗岩かこうがんのような冷ややかな心をもやわらげたであろう。しかし木のごとき心をやわらげることはできないものである。
西のほうの海岸にみるような赤ちゃけた地肌のあらわな花崗岩かこうがんの丘がぎざぎざにつらなり、うねうねと彎曲わんきょくして、かなり間遠く両岸を形づくっている。
母の死 (新字新仮名) / 中勘助(著)
ニイスあたりでは、そういう薔薇をトルキスタンの花崗岩かこうがん帯で発見された珍らしい変種と称して町かどで売っています。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
たとえば風化せる花崗岩かこうがんばかりの山と、浸蝕しんしょくのまだ若い古生層の山とでは山の形態のちがう上にそれを飾る植物社会に著しい相違が目立つようである。
日本人の自然観 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
けれども、此の花瓶が、超人の手によって、百尺の高さから、花崗岩かこうがんの庭石の上へ投げつけられ、物の見事に文字通り、粉微塵こなみじんに破壊されたらどうだろう。
犠牲者 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
そこへも緑は影を映して、美しく洗われた花崗岩かこうがんの畳石の上を、また女の人の素足の上を水は豊かに流れる。
城のある町にて (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
天の空間は私の感覚かんかくのすぐとなりにるらしい。みちをあるいて黄金いろの雲母うんものかけらがだんだんたくさん出て来ればだんだん花崗岩かこうがんに近づいたなと思うのだ。
インドラの網 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
梧枝里は裕福な村と見える。どの家も相当に大きく、皆一様に花崗岩かこうがんの玉石で築いた塀をめぐらしている。
全羅紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
もう再びはくぐるまいと決心した花崗岩かこうがんの石門に、自動車は速力をわずかに緩めながら進み入った。もう再びは、足を踏むまいと思った車寄せの石段を、彼は再び昇った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
水の豊富なこと、花崗岩かこうがんの風化でできた砂まじりの土壌のことなどは、すぐ目についてくる。
京の四季 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
洞穴の四方の壁は花崗岩かこうがんで、すこしの湿気しっけもなく、また海からの潮風もふせぐことができる、内部は畳数たたみかず二十三枚だけの広さだから、十五人の連盟れんめい少年を、いれることができる。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
西に駒ヶ岳の花崗岩かこうがん大系あり、余らの計画はこれらの山岳を、次第に巡るに在りて、今やほとんどその三の二を遂げたり、而して上下跋渉の間、心胸、豁如かつじょ、洞朗、昨日の我は今日の我にあらず
山を讃する文 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
その鷹や猫は黒花崗岩かこうがんの中に生きている。
美の日本的源泉 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
またあるものの中には、四枚の花崗岩かこうがんでできてる四角な箱のようなものが見られる。それは中に寝るにはあまりに短く、中に立つにはあまりに低い。
そのときにいつも目の前の夕やみの庭のまん中に薄白く見えていたのがこの長方形の花崗岩かこうがんの飛び石であった。
庭の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
おお、私はここにお前の名と姿と霊とを決して消える事のない深さで鏤刻るこくしよう。丁度お前を産んだ民族が、好んであの固い花崗岩かこうがんに深くのみをあてて、記念すべき永遠の彫刻を刻んだように。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
はっはっは、ジッコさんというのは磁鉄鉱だね、もうわかったさ、喧嘩けんかの相手はバイオタイトだ。して見るとなんでもこの辺にさっきの花崗岩かこうがんのかけらがあるね、そいつの中の鉱物がかやかや物を
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
すなわち花崗岩かこうがんと肥石灰漆喰しっくいとで作られ一ひろ八百フランもする底部と溝とを供えて下水道に至るまで広壮厳然たる昔の建築の代わりに、近代の安価な経済的方法
しばらくやすんでから、こんどはみんなで先生について川の北の花崗岩かこうがんだの三泥岩でいがんだのまではいったんだ地質ちしつや土性のところを教わってあるいた。図はつぎの月曜までに清書せいしょして出すことにした。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
私はそれのとりことなっている。それは私を翼でおおい、あらゆるひだで抱きしめる。その花崗岩かこうがんの壁に私を閉じこめ、その鉄の錠の下に私を幽閉し、その看守の目で私を監視する。
死刑囚最後の日 (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
戦闘の中には、精神が人間を固めて兵士を立像たらしめ、全身の肉を花崗岩かこうがんたらしむるほどの瞬間がある。イギリスの軍隊は、狂猛に襲撃されながら、たじろぎもしなかった。
しかしその靄の中に、不動な一点が、明確な一つの形が、花崗岩かこうがんでできてるようなある物が、一つの決意が、一つの意志が、存在していた。すなわち再びコゼットに会うことだった。
十六番目の銃眼の前には、イギリスの二つの花崗岩かこうがんの墓が据わっている。銃眼は南の壁にしかない。攻撃の主力はそちらからきたのである。その壁は外部は大きな生籬いけがきで隠されている。
花崗岩かこうがんのごとき心であって、しかも疑念をいだく。法の鋳型の中で全部鋳上げられた懲戒の像であって、しかもその青銅の胸の中に、ほとんど心臓にも似たる不条理不従順なるある物を突然に認める。