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胞衣
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えな
ふりがな文庫
“
胞衣
(
えな
)” の例文
世間の
双生児
(
ふたご
)
には
珍
(
めづ
)
らしい一つの
胞衣
(
えな
)
に包まれて居たのでしたよ、などとこんな話を口の中でした
瑞樹
(
みづき
)
の顔を
覗
(
のぞ
)
かうとするのでしたが
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その隣村に
衣奈
(
えな
)
八幡あり。応神帝の
胞衣
(
えな
)
を埋めたる跡と言い伝え、なかなかの大社にて直立の石段百二段、近村の寺塔よりはるかに高し。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
所を異にした
胞衣
(
えな
)
とそのもとの主との間につながる感応の糸といったようなものは現在の科学の領域内に求め得られるはずはないからである。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
成善の生れた時、岡西玄庵が
胞衣
(
えな
)
を乞いに来た。玄庵は父玄亭に似て
夙慧
(
しゅくけい
)
であったが、嘉永三、四年の頃
癲癇
(
てんかん
)
を病んで、低能の人と化していた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「下らねえ
詮索
(
せんさく
)
だ。俺の家は親代々の御用聞き、
胞衣
(
えな
)
を引つくり返しや、寛永通寶の
紋
(
もん
)
が附いてゐる」
銭形平次捕物控:300 系図の刺青
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
何處
(
どこ
)
から
繰出
(
くりだ
)
したか——まさか
臍
(
へそ
)
からではあるまい——
蛙
(
かへる
)
の
胞衣
(
えな
)
のやうな
管
(
くだ
)
をづるりと
伸
(
の
)
ばして、
護謨輪
(
ごむわ
)
に
附着
(
くツつ
)
けたと
思
(
おも
)
ふと、
握拳
(
にぎりこぶし
)
で
操
(
あやつ
)
つて、ぶツ/\と
風
(
かぜ
)
を
入
(
い
)
れる。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「夢をごらんなすってるのかしら……それとも
胞衣
(
えな
)
に引かされてでしょうかしら。」
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
が、
側
(
そば
)
へ寄って見ると、横に広いあと口に東京
胞衣
(
えな
)
会社と書いたものだった。僕は
後
(
うしろ
)
から声をかけた後、ぐんぐんその車を押してやった。それは多少押してやるのに
穢
(
きたな
)
い気もしたのに違いなかった。
年末の一日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
底のない、幽谷の闇の
曙
(
あけぼの
)
にめざめて偉大なる茫漠の
胞衣
(
えな
)
をむかへる。
藍色の蟇
(新字旧仮名)
/
大手拓次
(著)
昔からの言い伝えでは
胞衣
(
えな
)
を埋めたその上の地面をいちばん最初に通った動物がきらいになるということになっている。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
玄亭の長男玄庵はかつて保の
胞衣
(
えな
)
を服用したという
癲癇
(
てんかん
)
病者で、維新後間もなく世を去った。次男がこの養玄で、当時氏名を
更
(
あらた
)
めて
岡寛斎
(
おかかんさい
)
といっていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
敷居際に
蹲
(
つくば
)
った捨吉が、肩のあたりに千草色の
古股引
(
ふるももひき
)
、
垢
(
あか
)
じみた
尻切半纏
(
しりきりばんてん
)
、よれよれの三尺、
胞衣
(
えな
)
かと
怪
(
あやし
)
まれる帽を
冠
(
かぶ
)
って、
手拭
(
てぬぐい
)
を首に巻き、引出し附のがたがた箱と、
海鼠形
(
なまこなり
)
の
小盥
(
こだらい
)
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
基本金はどうか知らず、神威すなわち無形の基本財産が損ぜられたることおびただし。これらも研究の仕様によりては、皇家に上古
胞衣
(
えな
)
をいかに処理せられしかが分かる材料ともなるべきなり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「ええ、
胞衣
(
えな
)
を埋めた
標
(
しるし
)
に立てる石ですね。」
夢
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
支那でも初至の天癸から紅鉛を製し、童男女の尿より秋石を
煉
(
ね
)
り、また新産児の
胞衣
(
えな
)
を混元毬など尊称して至宝となし、内寵多き輩高価に求め服して身命を
亡
(
うしの
)
うた例、『五雑俎』等に多く見ゆ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
昼間見た時、
医師
(
せんせい
)
の説明をよくは心にも留めて聞かなかったが、
海鼠
(
なまこ
)
のような、またその岩のふやけたような、
厭
(
いや
)
な
膚合
(
はだあい
)
、ぷつりと切った
胞衣
(
えな
)
のあとの大きな
疣
(
いぼ
)
に似たのさえ、今見るごとく目に残る
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
胞
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
“胞衣”で始まる語句
胞衣会社
胞衣塚
胞衣壷
胞衣金