老子ろうし)” の例文
老子ろうしの無の哲学も、みんな現実を否定し、いつかは地球も人類も亡びてしまうと予言している、人間はよき社会生活をしようと苦心しながら
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
これははなはだ着実な議論であるが、さらに一歩を進めて高い見地よりみれば、老子ろうしの言うごとく、名の名とすべきは常の名にあらずである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
象牙色ぞうげいろの磁器にもられた液体琥珀こはくの中に、その道の心得ある人は、孔子こうしの心よき沈黙、老子ろうしの奇警、釈迦牟尼しゃかむにの天上の香にさえ触れることができる。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
キリストもシャカも老子ろうし孔子こうし空海くうかい日蓮にちれん道元どうげん親鸞しんらんもガンジイも歩いた。ダヴィンチも杜甫とほ芭蕉ばしょうも歩いた。科学者たちや医者たちも皆よく歩いています。
歩くこと (新字新仮名) / 三好十郎(著)
(『老子ろうし』に曰く、「谷神こくしんは死せず、これを玄牝げんぴんという。玄牝の門、これを天地の根という」と)
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
先ず『老子ろうし』の註をはじめとして、迷庵棭斎えきさいに誓った為事しごとを果して、それから自分の為事に掛かるのだ
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
内典を知るも、りょうの武帝の如く淫溺いんできせず、又老子ろうしを愛し、恬静てんせいを喜び、みずから道徳経註どうとくけいちゅう二巻をせんし、解縉かいしんをして、上疏じょうその中に、学の純ならざるをそしらしむるに至りたるも
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この人形の首をはじめて見たのは、わたしが日露戦争に従軍した時、満洲の海城かいじょうの城外に老子ろうしびょうがあって、その祭日に人形をまわしに来たシナの芸人の箱のなかでした。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
重心は下へ下へと降すべしと説いた老子ろうしの精神と似通っているところがあるように思われた。
比叡 (新字新仮名) / 横光利一(著)
世説せせつ左伝さでん戦国策せんごくさく老子ろうし荘子そうしと云うようなものもく講義を聞き、そのきは私ひとりの勉強、歴史は史記を始め前後漢書ぜんごかんしょ晋書しんしょ五代史ごだいし元明史略げんみんしりゃくと云うようなものも読み
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
科学は孔子こうしのいわゆる「格物」の学であって「致知」の一部に過ぎない。しかるに現在の科学の国土はまだウパニシャドや老子ろうしやソクラテスの世界との通路を一筋でももっていない。
科学者とあたま (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
そうしてそれが東洋の静かな精神に適合したのは云うまでもない。それは美の宗教であった。あの「渋さ」の世界は、老子ろうしの言葉を使えば「げん」の世界と呼び得よう。「渋さ」は究竟くっきょうな美の相である。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
老子ろうしのいわゆる
わたしたちの宿舎のとなりに老子ろうしの廟があって、滞留の間にあたかもその祭日に逢った。雨も幸いに小歇こやみになったので、泥濘でいねいの路を踏んで香をささげに来る者も多い。縁日商人も店をならべている。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この人が晩年に『老子ろうし』を好んだので、抽斎も同嗜どうしの人となった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
老子山中睡却醒 老子ろうしは山中に睡るもかえって醒めたり
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
老子ろうしの有名なる語に
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)