總身そうしん)” の例文
新字:総身
白状に及ぶ程のことなれば總身そうしんにくおち頬骨ほゝぼね高く眼はくぼみ色蒼然あをざめ髯髭ひげ蓬々ぼう/\としたる體彼の俊寛僧都しゆんくわんそうづが鬼界ヶ島のおもかげもかくやとばかり思はれて藤八お節も目も眩み心も消え入る體なりしが漸々やう/\に涙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もつて月番南町奉行大岡越前守殿へ引渡し相濟ける之に依て大岡殿も一通り吟味の上口書こうしよ并びに書取の通り符合ふがふなすに於ては月番老中しゆうかゞひの上附札つけふだにて御仕置仰せ付らるゝの手續てつゞきなる故今富右衞門が命は風前ふうぜん燈火ともしびの如し再調さいしらべに引出さるゝ其有樣數日の拷問につかはて總身そうしん痩衰やせおとろ鬢髭びんひげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ひそかにうかゞふに何事もなしさて不審ふしんとは心に思へど色にもあらはさずすでに其夜も五ツ時と思ふころ毒藥どくやくかう總身そうしんに廻り感應院はにはかに七てんたうしてくるしみ出せば寶澤はさもおどろきたる體にてなきながらまづ近所の者へ知せける土地ところの者共おどろあわ早速さつそく名主なぬしへ知せければ名主も駈付かけつけ醫者いしやくすりさわぎしに全く食滯しよくたいならんなど云まゝ寶澤は心には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)