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へめぐ
經廻り
同類を語らひ
今般將軍の
御落胤なりと名乘出候に
相違御座なく候と
認めたれば扨々
憎き
惡僧なり如何に越前
此調は伊豆守の
内意を受て紀州表を
されば
櫻木大佐が
再び
日本へ
皈つたものとすれば、
其勳功は
日月よりも
明かに
輝きて、
如何に
私が
旅から
旅へと
經廻つて
居るにしても
其風聞の
耳に
達せぬ
事はあるまい
昨日までは
經廻る
旅路の
幾千
里、
憂き
時も
樂しき
時も
語らふ
人とては
一人もなく、
晨に
明星の
清しき
光を
望み、
夕に
晩照の
華美なる
景色を
眺むるにも
只一人、
吾と
吾心を
慰むるのみであつたが