素人しらうと)” の例文
『なア水谷君みづたにくん素人しらうとはこれだからこまる。このどうもなになくツても、貝層かひそう具合ぐあひなんていね。うしてたゞつてても心持こゝろもちだねえ』とぼくふ。
とにかく、将棋もしまひには素人しらうと八段といふところまで進み、将棋界として忘れてはならない恩人であつた。
駒台の発案者 (新字旧仮名) / 関根金次郎(著)
絵は無論仕上しあがつてゐないものだらう。けれども何処どこ彼所かしこも万遍なく絵の具がつてあるから、素人しらうとの三四郎が見ると、中々立派である。うまいか無味まづいか無論わからない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
揚物あげものわかるか、揚物あげものてえと素人しらうと天麩羅てんぷらだと思ふだらうが、なげえのを漸々だん/″\めたのを揚物あげものてえのだ、それから早く掛物かけものを出して見せなよ、やぶきアしねえからお見せなせえ
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
乾葡萄をゑらんだり、藥味やくみを磨つたり、クリスマスケイクを捏ねたり、ミンスパイの材料をきざんだり、それからあなたのやうな素人しらうとの方には申上げたつてもおわかりにならないやうな
仏蘭西フランスの女は素人しらうとでさへはらむことが無いのに、なぜキキイがはらんだんだらう。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
雲哲 おれは素人しらうとだ。仕方がない。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
机の上を見ると、落第と云ふ字が美事につてある。余程ひままかせて仕上しあげたものと見えて、堅いかしの板を奇麗にり込んだ手際は素人しらうととは思はれない。深刻の出来である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)