精彩せいさい)” の例文
型の如く、近習や作法張った儀式はあるが、精彩せいさいがなかった。将軍職の名はあっても、ここに実際の力がないことが、すぐ感じられた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞくちびるがあまり厚過あつすぎるので、其所そこ幾分いくぶんゆるみがえた。そのかはかれには、普通ふつう人間にんげん到底たうているべからざる一種いつしゆ精彩せいさいひらめいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ただくちびるがあまり厚過ぎるので、そこに幾分のゆるみが見えた。その代り彼の眼には、普通の人間にとうてい見るべからざる一種の精彩せいさいひらめいた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかし、第一回出征の時とは、格段な精彩せいさいを以て、任地へ着いたので、よろこびは正直に顔からあふれている。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
其上そのうへ參禪さんぜん鼓舞こぶするためか、古來こらいからこのみちくるしんだひと閲歴譚えつれきだんなどぜて一段いちだん精彩せいさいけるのがれいであつた。此日このひそのとほりであつたが或所あるところると、突然とつぜん語調ごてうあらためて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長光寺城一砕の大甕おおがめも、ここに至っては、可惜あたら、何の精彩せいさいも見ることはできない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)