米穀べいこく)” の例文
しながそれほど苦勞くらうした米穀べいこく問題もんだい死後しご四五年間ねんかん惨憺さんたんたる境遇きやうぐうからやうや解決かいけつげられようとしたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この法螺貝を残して行きますから、これに米穀べいこくをたくわえて置けば、いつでもとぼしくなるような事はありません
俵の数は約二百俵、五十こく内外の米穀べいこくなれば、機関室も甲板デッキ空処あきも、隙間すきまなきまでに積みたる重量のために、船体はやや傾斜をきたして、吃水きっすいは著しく深くなりぬ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
帰宅後、電燈の点じ難く、食糧の乏しきを告げんことを惧れ、蝋燭らふそく米穀べいこく蔬菜そさい罐詰くわんづめの類を買ひ集めしむ。
「はあ、いかにも、思い出しましてござりまする——江戸表、米穀べいこく払底ふっていの折柄、上方のお持米をおまわしになりましたら、さぞ世間がよろこぶであろうという——あの、お噂ばなし——」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
たのみたり此佐倉屋と云は文右衞門より毎米穀べいこく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
召出めしいだされ一應糺されけるに十二月廿七日夜御組の中田甚太夫殿と申す御仁御出張にて文藏夫婦ぶんざうふうふ御召捕おんめしとり相成御代官へ引渡し候樣おほせ渡され米穀べいこく金銀諸道具しよだうぐ等迄とうまでのこらず封印の上御引取相成候間其通り御代官所へ召連めしつれうつたへ出候處一かう御存じこれなきとの事にてそれより御勘定奉行へ御引渡しあひなりなほまた當御役所へ相廻候と申立るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)