はて)” の例文
日本のずうつと西のはて或国あるくにでは、氏神といつて、どこのうちでも、先祖代々自分だけの神様をまつつてをります。
蛇いちご (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
自分は僅か三四時間の道をさながはてのない絶望の國へ流されて行くやうな心持で、漸く國府津の停車場ステイシヨンにつき、其れからは又極めて進行の遲い電氣鐵道に乘つた。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
僕は青春の感情を、貴女に散々弄ばれて、揚句のはてに、突き離されることになるのぢやありませんか。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
流石さすがに西のはてだね。町の様子が何だか異国風だ。大変遠いところへ来たような気がするよ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
世界せかい如何どんはてまでも、わしの殿御とのごとしていてゆきませう。
五 山頂の東のはてぞ珍らしき九十九谷の日の出月の出
鹿野山 (旧字旧仮名) / 大町桂月(著)
契丹きつたんの雲のはてまでもとは思へども、流石さすが忍ばれず。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
海の色も、真夏に見るやうな濃藍の色を失つて、それだけ親しみ易い軽い藍色に、はる/″\と続いてゐた。そのはてに、伊豆の連山が、淡くほのかに晴れ渡つてゐるのだつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
有楽座ゆうらくざ帝国劇場歌舞伎座などを見物した帰りには必ず銀座のビイヤホオルに休んで最終の電車のなくなるのも構わず同じ見物帰りの友達とはてしもなく劇評を戦わすのであった。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
が、もし五年も七年も待って、その返事が悪い返事だったら、一体うなるのです。僕は青春の感情を、貴女に散々もてあそばれて、揚句あげくはてに、突き離されることになるのじゃありませんか。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
眼の下にはさえぎるものもなく、今歩いて来た道と空地と新開の町とが低く見渡されるが、土手の向側は、トタンぶき陋屋ろうおくが秩序もなく、はてしもなく、ごたごたに建て込んだ間から湯屋の烟突えんとつ屹立きつりつして
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そのはてに、伊豆いずの連山が、淡くほのかに晴れ渡っているのだった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一筋道ひとすじみちはてに美しき眺めよこた
牧場ははてより端にいたるまで
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)