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窮鼠
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きゅうそ
ふりがな文庫
“
窮鼠
(
きゅうそ
)” の例文
家康が、総攻撃の令を発したときなどは、まさに、
窮鼠
(
きゅうそ
)
が猫を
食
(
は
)
むの勢いを示し、寄手は、城兵の銃弾に、かなりな犠牲を強いられた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と言うて手を
束
(
つか
)
ねて捕われるのも
愚
(
ぐ
)
な話、
窮鼠
(
きゅうそ
)
かえって猫を噛むというわけではないが、時にとっての非常手段を試みるよりほかはない。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
窮鼠
(
きゅうそ
)
の勢い、という感じで、そちらにいた捕方の者は、わっと左右へ崩れたった。千之助はそれを追うようにみせ、身を
翻
(
ひるがえ
)
して、走りだした。
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼等は弱い市民を脅迫して、あくまでこの街を死守させようとするのであったが、
窮鼠
(
きゅうそ
)
の如く追いつめられた人々は、巧みにまたその裏をくぐった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
追い詰められた薪十郎、今は
窮鼠
(
きゅうそ
)
、猛然と
延
(
の
)
し、血だらけの顔を真ん向かい「毒婦めエーッ」と躍りかかった。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
窮鳥はふところに入る事があり、
窮鼠
(
きゅうそ
)
は
猫
(
ねこ
)
をかむ事があるかもしれないが、追われたねずみが追う人の
羽織
(
はおり
)
の裏にへばりつくという事はあまりこれまで聞いた事がなかった。
ねずみと猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
窮鼠
(
きゅうそ
)
かえってねこをかむってえ古ことわざもあるんだ。主従のよしみだからね、いざとなったら、あれをちょっぴり、ね、ほら、いいですかい。草香流でおまじないを頼んますぜ。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
自分の胸が事の真相をいちばん
悉
(
くわ
)
しく知っているのだ。腕を組んでみた。が、しばらく彼は
窮鼠
(
きゅうそ
)
のかたちであった。眼を光らせて、前にならんだ官員の顔をじろじろながめていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
別の場合もあるので——世の中には、
窮鼠
(
きゅうそ
)
かえって猫を噛むという言葉もある。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
妄
(
みだ
)
りに反抗するものではないのである。
然
(
しか
)
るに何故に反抗するかというと、忍び得るだけは忍んで、忍ぶべからざるに至って、初めて
窮鼠
(
きゅうそ
)
猫を噛むの勇を起して、反抗を始めるのである(拍手)。
平和事業の将来
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
またある者は裁判官や民衆に
媚
(
こ
)
びて、自己の死後の名前を幾分なりとも有利にしようともくろんだり、いずれを見ても
窮鼠
(
きゅうそ
)
の心情の哀れさを、紙の上に反映しなかったものとてはただの一つもない。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と、思い知ったに相違ない平馬、
窮鼠
(
きゅうそ
)
、猫を噛もうと
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
窮鼠
(
きゅうそ
)
のような
哄笑
(
こうしょう
)
だ。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
窮鼠
(
きゅうそ
)
猫
(
ねこ
)
を噛むということも一応思ってみる必要がある。ちょっと暗闇に
眸
(
ひとみ
)
が馴れてこないうちは
迂濶
(
うかつ
)
に飛びかかれぬ気もした。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武者ぶりつかれてかえって、度胸が据ったらしい旅の男——
窮鼠
(
きゅうそ
)
猫を
噛
(
か
)
むというよりも、最初に猫をかぶっていた狐が、ここで本性を現わしたというような逆姿勢となって
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
するするとその手から得意の
蛇
(
じゃ
)
がらみが投げ出されたかと見えましたが、いまし、名人の胸板めがけて
窮鼠
(
きゅうそ
)
の
一箭
(
いっせん
)
が切って放たれようとしたそのときおそくこのとき早く、実に名技
右門捕物帖:16 七化け役者
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
と思うと同時に、峰丹波、今までふるえおののいていた鼠が、
窮鼠
(
きゅうそ
)
になった。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかし、
窮鼠
(
きゅうそ
)
が猫を
咬
(
か
)
むの
喩
(
たと
)
えもあるから、檻の虎の料理は、
易
(
やさ
)
しきに似て、下手をすれば、咬みつかれる怖れがある。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
窮鼠
(
きゅうそ
)
猫をかむという東洋の古い
諺
(
ことわざ
)
そっくりで、
狼狽
(
ろうばい
)
のあまりとはいえ、あの身構えのザマは何だと、白雲は冷笑しながら近づいて行って、その首筋を取って引落そうとする途端を
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
が、
瀕死
(
ひんし
)
の府といえ、北条方はそうでない。
窮鼠
(
きゅうそ
)
の強さに加え、鎌倉最期の日とも覚悟してこぞり起てば、府内、なお三、四万の兵力は優にあろう。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うかと手出しして、
窮鼠
(
きゅうそ
)
に噛まれなどいたしたら、其方どもよりは、信玄が世のもの笑いとなろう
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
荒木村重や佐久間
父子
(
おやこ
)
のような末路に終るかもしれないという
危惧
(
きぐ
)
不安が——
窮鼠
(
きゅうそ
)
の如く、生きんがために、一転この先手を打たせるに至ったものだ——という自己弁護も
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猫を噛むの
窮鼠
(
きゅうそ
)
となって、帯の間から引き抜いた
匕首
(
あいくち
)
を
逆手
(
さかて
)
にもち、寄らば、お十夜にズタズタに斬られるまでも、こっちも、相手のどこかしらへ、一突き刺し
貫
(
ぬ
)
いてやろうという女の一念。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
窮鼠
(
きゅうそ
)
猫
(
ねこ
)
をかむとはこれだ、すてばちの
怒号
(
どごう
)
ものものしくも名のりをあげた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
窮
常用漢字
中学
部首:⽳
15画
鼠
漢検準1級
部首:⿏
13画
“窮鼠”で始まる語句
窮鼠軍