突伏つつぷ)” の例文
目がしきりなく曇るし、手先が慄へるし、仲々草鞋が穿けなかつたですが、やう/\紐をどうやら結んで、丸飯の新聞包を取り上げ乍ら見ると、噫、天野君は死んだ樣に突伏つつぷしてます。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「えゝぽどらくになつたわ」と御米およね何時いつものとほ微笑びせうらした。御米およね大抵たいていくるしい場合ばあひでも、宗助そうすけ微笑びせうせることわすれなかつた。ちやでは、きよ突伏つつぷしたまゝいびきをかいてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ながもと小桶こをけなか茶碗ちやわん塗椀ぬりわんあらはないまゝけてあつた。下女部屋げぢよべやのぞくと、きよ自分じぶんまへちひさなぜんひかえたなり、御櫃おはちりかゝつて突伏つつぷしてゐた。宗助そうすけまたでふいてくびんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)