祖師そし)” の例文
「やあ、よくおいでなすった。こんな処は堀の内のお祖師そしさまへでも行く時のほかは、あんまり用のない所で……。」
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ロレ 祖師そしフランシス上人しゃうにん! こりゃまたなんたるかはりやうぢゃ! あれほどにこがれておゐやつたローザラインを
清元の浄瑠璃に、あの川端へ祖師そしさんへなどと申す文句のござりますのは、此の川端にある祖師堂で、此の境内には俳優岩井家代々の墓がございます。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴下方あなたがたが、到底対手あいてにゃなるまいと思っておいでなさる、わかい人たちが、かえって祖師そしあこがれてます。どうかして、安心立命あんしんりつめいが得たいともだえてますよ。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから句仏上人くぶつしやうにんが、画をかせてもやはり器用なのに敬服した。上人は「勿体もたいなや祖師そし紙衣かみこの五十年」
俳画展覧会を観て (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「れいの、お祖師そしさまのお声というのを、はっきりと聞いたものが八九人いるんでございます」
「信者は祖師そし様と呼んでいるよ。……でも反対派の人達は『飛加藤とびかとうの亜流』だと云っているよ」
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何とかして治る工夫はないものかと、大師だいし様に願をかけたり、祖師そし様の御利益にすがったり、方々の温泉をめぐったりしましたが、できものはずんずん大きくなるばかりでした。
肉腫 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「バッハは西洋音楽の祖師そしである」と言ったならば、一応大袈裟に響くかも知れない。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
祖師そし親鸞しんらんでさえしたことです』
御鷹 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祖師そし西来の意は奈何いかん。曰、苦。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
現代第一の智者と云えば、この俺の他にはない。つまり俺は日蓮なのだ。つまり俺は祖師そしなのだ。その祖師様を殺そうとは、とんでもない不届者だ。すぐに仏罰を蒙ろうぞ。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
となりに坐っていたお伽坊主とぎぼうずの朝顔という腰元が、そっとたずねると、いま、お祖師そし様が憐れむような眼つきで、じッとわたしの顔をごらんになった、と妙なことを口走った。
思ひがけなき雪の夜に御封ごふう祖師そし利益りやくにて、不思議といのちたすかりしは、妙法蓮華経めうほふれんげきやうの七字より、一おとかまふちる水より鉄砲てつぱうの肩をこすつてドツサリと、岩間いはまひゞ強薬つよぐすり
祖師そし身延みのぶ参詣さんけいても鰍沢かじかざはの舟には乗るなとおつしやつた