なが)” の例文
蒲団ふとん着て寝たる姿の東山を旅館の窓からながめつつ、眠ったような平和な自然美をあくまでむさぼっていた長閑のどかな夢を破ったのは眉山のであった。
うなると、一刻いつこくじつとしてられぬのは武村兵曹たけむらへいそうである。腕拱うでこまぬいて、一心いつしん鐵檻車てつおりぐるま運轉うんてんながめてつたが、たちま大聲たいせい
何の気もなくながめいたるにまたもや大吉にみつけられお前にはあなたのようなかたがいいのだよと彼を抑えこれを揚ぐる画策縦横大英雄も善知識もせんじ詰めれば女あってののちなりこれを
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
さて立上って舞おうとするお春の姿を呉羽之介は夢見るようにながめ乍ら、とは言え二人の前もあれば、今夜は殊に美しく、巧みに舞うてくれればよいと口には出さねどひたすらに
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
眉山は遠くからながめてると女のように媚かしいただの色若衆であったが、会って見ると岩本院いわもといんの稚児上りといいそうな江戸ッ子風の伝法肌でんぽうはだであった。
『あら、海軍かいぐん叔父おぢさんは、あのいわうしろかくれておしまいになつてよ。』と、日出雄少年ひでをせうねんいぶかしわたくしながめた。
貞之進は手にも取上げず落たまゝながめて居たが、小歌はいけないのいけないのと云って、そしてそこまでは取りにも来ない、かまわないのですよと婢が拾って、立際に渡して呉れたので
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
じつに、きみ經歴けいれき小説せうせつのやうです。』とつたまゝ暫時しばしわたくしかほながめてつたが、物語ものがたりうちでも、春枝夫人はるえふじん殊勝けなげなる振舞ふるまひには、すくなからずこゝろうごかした樣子やうす