目籠めかご)” の例文
近郷きんごう近在の爺さん婆さん若い者女子供が、股引ももひき草鞋わらじで大風呂敷を持ったり、荷車をいたり、目籠めかごを背負ったりして、早い者は夜半から出かける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
用事を口実にして銀行家ジャンナンを訪問した。ときとすると、猟の獲物えものをつめた目籠めかごを手みやげにしたり、大きな花束を婦人たちへもってきたりした。
鉋屑かんなくづたまればそれを目籠めかごに押し込んで外へ捨てに行つたり、職工達が墨をいた大小の木材を鋸切のこぎへ持つて行つて、いて貰つたり、昼飯時が来ると
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
その下に据えた俎板まないたも、野菜を切り込むざるも、目籠めかごも、自在にかけて何物か煮つつある鍋も、炉中の火をかき廻す火箸も、炉辺に据えた五徳も——茶のみ茶碗も
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
実枝の好きな蜜柑みかん目籠めかごで背負いこんできた。クニ子と実枝はつれだって母親の墓へまいった。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
桑の葉の充満つまッ目籠めかごをてんでん小脇こわきに抱えていたが、われわれを見るとこそこそ土堤の端の方へ寄ッて、立ち止まッて,「あれはどこ様の嬢様だが、どこさアへ往かッせるか」
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
目笊めざるを高い竿さおのさきにくくりつけて、表に立てておくのは広い風習で、西の方ではその竹籠に八日の餅を入れて上げるようだが、東京近くのはたいてい空っぽで、目籠めかごの目の数の多いのに驚いて
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
頭に手拭をねえさんかぶりしている、小脇に目籠めかごを抱えている、そうして道庵先生の方がきちんとした旅姿なのに、少女はちょっと草履ぞうりをつっかけただけの平常着ふだんぎであることが
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
目籠めかご背負せおって、ムロのおかみが自然薯じねんじょを売りに来た。一本三銭宛で六本買う。十五銭にけろと云うたら、それではこれがめぬと、左の手で猪口ちょこをこさえ、口にあてがって見せた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
この竹籠ものちには長方形の、いくつものあるよい格好のものになっていたが、五十年前にわたしなど見ていたのは、ただ農家の桑摘くわつみや落葉掻おちばかきに、つかっていた目籠めかごもおなじであった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そこへ不意に後ろの林から現われたのは、手拭をあねさんかぶりにして、目籠めかごの中へ何か野菜類を入れたのを小脇にして、そうしてニッコリ笑って呼びかけたのはお雪ちゃんでした。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
白無垢しろむくを着た女達が、縁から下りて草履をはいた。其草履は墓地でぬぎ棄てるので、帰途かえり履物はきものがいる。大きな目籠めかごに駒下駄も空気草履も泥だらけの木履も一つにぶち込んで、久さんが背負せおって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)