トップ
>
盃盤
>
はいばん
ふりがな文庫
“
盃盤
(
はいばん
)” の例文
中はまことに
慘憺
(
さんたん
)
たる有樣で、檢屍前の死骸は、僅かに隣りの部屋に取込んでありますが、
盃盤
(
はいばん
)
と血潮と、手のつけやうのない混亂です。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
道を転じて静緒は
雲帯橋
(
うんたいきよう
)
の在る
方
(
かた
)
へ導けり。橋に出づれば正面の書院を望むべく、はや
所狭
(
ところせま
)
きまで
盃盤
(
はいばん
)
を
陳
(
つら
)
ねたるも見えて、夫は席に着きゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
吐
(
つ
)
く息さえも苦しくまた頼もしかった時だ——「鬼よ、
羅刹
(
らせつ
)
よ、夜叉の首よ、われを
夜伽
(
よとぎ
)
の霊の影か……闇の
盃盤
(
はいばん
)
闇を盛りて、われは底なき闇に沈む」
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
と勝手を存じていますから、
嗜
(
たしな
)
みの物を並べて
膳立
(
ぜんだて
)
をいたし、大藏の前へ
盃盤
(
はいばん
)
が出ました。お菊は側へまいりまして酌をいたす。大藏は
盃
(
さかずき
)
を
執
(
と
)
って飲んでお菊に差す。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
主膳とは
碁敵
(
ごがたき
)
になっているが、主膳の方がずっと強いながら、この辺としてはくっきょうの相手ですから隠居は、主膳の来訪を喜んで、眺めのよい高楼に
盃盤
(
はいばん
)
を備えて待受け
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
樂人共
(
がくじんども
)
控
(
ひか
)
へてゐる。
給仕人共
(
きふじにんども
)
、
布巾
(
ふきん
)
を
携
(
たづさ
)
へて
出
(
い
)
で
來
(
きた
)
り、
取散
(
とりち
)
らしたる
盃盤
(
はいばん
)
をかたづくる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
五ツの座敷ブチ抜きたる
大筵席
(
だいえんせき
)
は既に入り乱れて
盃盤
(
はいばん
)
狼藉
(
らうぜき
)
、歌ふもあれば
跳
(
は
)
ねるもあり、腕を
撫
(
ぶ
)
して高論するもの、
妓
(
ぎ
)
を擁して
喃語
(
なんご
)
するもの、
彼方
(
かなた
)
に調子外れの
浄瑠璃
(
じやうるり
)
に合はして
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
今日も嘉門はただ一人で、取りちらされた
盃盤
(
はいばん
)
を前に、裏座敷で酒を飲んでいる。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
君らがいわゆる盛会に例の如く妓を
聘
(
へい
)
し酒を飲み
得々
(
とくとく
)
談笑するときは勿論、時としては親戚・朋友・男女団欒たる内宴の席においても、一座少しく興に入るとき、
盃盤
(
はいばん
)
を
狼藉
(
ろうぜき
)
ならしむる者は
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
我国の
膳部
(
ぜんぶ
)
におけるや食器の質とその色彩
紋様
(
もんよう
)
の
如何
(
いかん
)
によりてその趣全く変化す。夏には夏冬には冬らしき
盃盤
(
はいばん
)
を要す。
誰
(
たれ
)
か
鮪
(
まぐろ
)
の刺身を赤き
九谷
(
くたに
)
の皿に盛り
新漬
(
しんづけ
)
の
香物
(
こうのもの
)
を
蒔絵
(
まきえ
)
の椀に盛るものあらんや。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あらゆる人を遠ざけて、宗祖紫琴女と、別當赤井主水の二人、渾天儀を据ゑた三階の一室に、
盃盤
(
はいばん
)
を挾んで相對して居りました。
銭形平次捕物控:283 からくり屋敷
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
とかくする
間
(
ま
)
に
盃盤
(
はいばん
)
は
陳
(
つら
)
ねられたれど、満枝も貫一も三
盃
(
ばい
)
を過し得ぬ
下戸
(
げこ
)
なり。女は清めし
猪口
(
ちよく
)
を
出
(
いだ
)
して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
文治郎は案内に連れられまして奥へ通りますと、道場の次の座敷の
彼
(
か
)
れこれ十畳もあります所へ、大いなる
盃盤
(
はいばん
)
を置きまして、
皆
(
みん
)
な稽古着に袴を着けまして酒宴をして居ります。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
棚には植木鉢その外
種々
(
いろ/\
)
結構な物が並べてあり、置物は青磁の香炉古代蒔絵の本台などが置並べて前に
緞子
(
どんす
)
の
褥
(
しとね
)
を置いて
傍
(
かたわら
)
の刀かけに大小を置き、綿入羽織を着て、前の
盃盤
(
はいばん
)
には結構なる肴があって
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
盃
漢検準1級
部首:⽫
9画
盤
常用漢字
中学
部首:⽫
15画
“盃盤”で始まる語句
盃盤狼藉