がい)” の例文
遮莫さもあれおれにしたところで、いとおしいもの可愛かわゆいものを残らず振棄てて、山超え川越えて三百里を此様こんなバルガリヤ三がいへ来て、餓えて、こごえて
なんの因果で、こんな隻眼隻腕の痩せ浪人に……と、はたの眼にはうつるだろうが、お藤の身にとっては、三がい一の殿御とのごです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「要するに、三がいすべてこれ一心ぢや、寒いといふ心、暑いといふ心、心頭を滅却すれば火もまた凉しぢや。」
歳暮せいぼにはなにほどくださりますかと、あさより寢込ねこみてちゝかへりをちしは此金これなり、は三がい首械くびかせといへど、まこと放蕩のらおやばかり不幸ふかうなるは
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日本に居て想像すると欧洲三がいんな風にして出稼ぎして居る男女だんぢよは大抵自堕落な人間の様だが、実際は反対に極めて真面目まじめな量見を持て働いて居る者が多い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
がいは安きことなし、なお火宅の如し
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
一は、いま海内かいだいにときめく江戸南町奉行大岡越前守忠相。他は、酒と心中しよか五千石取ろかなんの五千石……とでも言いたい、三がい無宿むしゅく、天下の乞食先生蒲生泰軒。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)