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甚樣
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じんさま
甚樣私しの
部屋へもお
出なされ、
玉突して
遊びますほどに、と
面白げに
誘ひて
座を
立つ
姉君、
早く
去ねがしにはたはたと
障子を
立てヽ、
姉樣これ、と
懷中より
半ば
見せ
更けて
軒ばに
風鈴のおと
淋しや、
明日は
此音いかに
戀しく、
此軒ばのこと
部屋のこと、
取分けては
甚樣のこと、
父君のこと
母君のこと、
平常は
左までならぬ
姉妹のこと
燈火の
下に
書物を
開らき、
膝に
抱きて
畫を
見せ、これは
何時何時の
昔し
何處の
國に、
甚樣のやうな
剛き
人ありて、
其時代の
帝に
背きし
賊を
討ち、
大功をなして
此畫は
引上の
處