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りうきう
最近廣津和郎氏が「さまよへる
琉球人」といふ
作の
主人
公にした青年がどうもその青年と同一人らしいので、
私はちよつと
驚いてゐる。
黄がかつた
紬の
羽織に、
銘仙の
茶じまを
着たのと、
石持の
黒羽織に、まがひ
琉球のかすりを
着たのが、しよぼ/\
雨の
降る
中を、
夜汽車で
立つた。
一面の
琉球藺は
伐採を受けざる為め
茸々として沼岸に
繁茂し、沼辺の
森林は
欝乎として水中に
映じ、
翠緑滴る如く、燧岳の中腹は一帯の
雲烟に
鎖され夕陽之に
反照す、其景の
絶佳なる
若い医者は、
比嘉といふ名前で、先代は
琉球の生れだと云ふ事である。
……
何を
何う
考へたか、いづれ
周章てた
紛れであらうが、
神田の
從姉——
松本の
長の
姉を
口説いて、
實は
名古屋ゆきに
着てゐた
琉球だつて、
月賦の
約束で、その
從姉の
顏で