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ふりがな文庫
“
無愛想
(
ぶあいそう
)” の例文
この話は
山方石之助
(
やまがたいしのすけ
)
君から十数年前に聴いた。山に住む者の無口になり、一見
無愛想
(
ぶあいそう
)
になってしまうことは、多くの人が知っている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私
(
わたし
)
はいつも
村
(
むら
)
にやってくる
無愛想
(
ぶあいそう
)
な、あめ
売
(
う
)
りじいさんを
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
して、どれほど、その
人
(
ひと
)
のほうがいいかしれないと
思
(
おも
)
いました。
子供の時分の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
Y中尉は手紙を持ったまま、だんだん
軽蔑
(
けいべつ
)
の色を浮べ出した。それから
無愛想
(
ぶあいそう
)
にA中尉の顔を見、
冷
(
ひや
)
かすように話しかけた。
三つの窓
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうするとこれを聞いたこなたの
汚
(
きたな
)
い
衣服
(
なり
)
の少年は、その
眼鼻立
(
めはなだち
)
の悪く無い割には
無愛想
(
ぶあいそう
)
で
薄淋
(
うすさみ
)
しい顔に、いささか
冷笑
(
あざわら
)
うような
笑
(
わらい
)
を現わした。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
まわりからくる体つきの
愛嬌
(
あいきょう
)
で、ニコニコしているように見えたが、眼は決して笑っていなかったその眼の
無愛想
(
ぶあいそう
)
をおぎなって、鼻が親しみぶかかった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
それではやらないかといえば不思議なほどはやって、
門前市
(
もんぜんいち
)
をなす
有様
(
ありさま
)
です。あんな
無愛想
(
ぶあいそう
)
な人があれだけはやるのはやはり技術があるからだと思いました。
無題
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
きつい気のする有名な
僧都
(
そうず
)
とか、僧正とかいうような人は、また一方では多忙でもあるがために、
無愛想
(
ぶあいそう
)
なふうを見せて、質問したいことも
躊躇
(
ちゅうちょ
)
されるものであるし
源氏物語:47 橋姫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
この名づけ親というのは、
無愛想
(
ぶあいそう
)
な、孤独な
爺
(
じい
)
さんで、生涯を、
魚捕
(
うおと
)
りと
葡萄畑
(
ぶどうばたけ
)
で過ごしている。彼は誰をも愛していない。
我慢
(
がまん
)
ができるのは、にんじん一人きりだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
今日は荒田老もめずらしく
上機嫌
(
じょうきげん
)
で、「わしはめしはたくさんです」などと
無愛想
(
ぶあいそう
)
なことも言わず、自分からすすんで平木中佐をさそい、その席につらなったのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「何も考へてゐやしない。」と
無愛想
(
ぶあいそう
)
に謂ツて、
墨々
(
まじ/\
)
とお房の顏を見ると
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
あら、やに
無愛想
(
ぶあいそう
)
だね。またあの
兄
(
あ
)
んちゃんのことでも考えてるんだろ。
巴里の秋
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
最初に受け取った冷淡な
無愛想
(
ぶあいそう
)
な手紙は、彼に苦しみを与えたはずだった。——(おそらく実際に与えたろう。)——しかし彼はそうだと認めたくなかった。そして子供らしい喜びをさえ感じた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
無愛想
(
ぶあいそう
)
なやつだ。買うからねだんを聞いているのだ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
看護婦は洋一の姿を見ると、ちょいと
媚
(
こび
)
のある目礼をした。洋一はその看護婦にも、はっきり異性を感じながら、妙に
無愛想
(
ぶあいそう
)
な
会釈
(
えしゃく
)
を返した。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いくらそのおじいさんが
無愛想
(
ぶあいそう
)
でも、ずっと
昔
(
むかし
)
からこの
村
(
むら
)
にくるので、まったくの
顔
(
かお
)
なじみであったから、けっして
他人
(
たにん
)
のような
気持
(
きも
)
ちがしなかった。
子供の時分の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その中で一番
苦
(
にが
)
い顔をしたのは
池辺三山君
(
いけべさんざんくん
)
であった。余が原稿を書いたと聞くや否や、たちまち余計な事だと叱りつけた。しかもその声はもっとも
無愛想
(
ぶあいそう
)
な声であった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
が、時間の移るにつれ、だんだん
無愛想
(
ぶあいそう
)
な看守に対する憎しみの深まるのを感じ出した。(僕はこの
侮辱
(
ぶじょく
)
を受けた時に急に不快にならないことをいつも不思議に思っている。)
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兄の調子は自分の予期した通り
無愛想
(
ぶあいそう
)
であった。しかしそれは覚悟の前であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれど、
私
(
わたし
)
は、またこんな
無愛想
(
ぶあいそう
)
なじいさんを
見
(
み
)
たことがありません。
子供の時分の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
妙に
無愛想
(
ぶあいそう
)
な一人の看守は時々こう云う控室へ来、少しも
抑揚
(
よくよう
)
のない声にちょうど面会の順に当った人々の番号を呼び上げて行った。が、僕はいつまで待っても、容易に番号を呼ばれなかった。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
顔に似合わずすこぶる
無愛想
(
ぶあいそう
)
である。長蔵さんは平気なもんで
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
想
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“無愛”で始まる語句
無愛嬌
無愛相
無愛憎
無愛措
無愛嬌者