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炉傍
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ろばた
ふりがな文庫
“
炉傍
(
ろばた
)” の例文
旧字:
爐傍
その晩笹村は下の
炉傍
(
ろばた
)
へ来て、酒をつけてもらったりした。炉傍には、時々話し相手にする町の大きな精米場の持ち主も来て坐っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
梅三爺は
爛
(
ただ
)
れた眼をぱちくりさせながら、一度手にした唐鍬を置いて、
炉傍
(
ろばた
)
に戻って来た。そして
煙管
(
きせる
)
をぬき取った。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
台所の
炉傍
(
ろばた
)
に、その男の子とふたり並んで坐って、お客さんのように澄ましていた。私にむかっても、うやうやしくお辞儀をして、実によそよそしかった。
新樹の言葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
当時、酒の税制がどんな風になっていたか知らないが、私のとなりの家に、飲兵衛のお爺さんがいて、毎日
炉傍
(
ろばた
)
で濁酒を、
榾火
(
ほたび
)
で温めては飲んでいたのをいまも記憶している。
濁酒を恋う
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
昼間は野山を駆け廻って糧食を求め、夜は
炉傍
(
ろばた
)
に村人を集めて爽快な武者修業談を語ろう。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
山路
(
やまみち
)
から、
後
(
あと
)
を
跟
(
つ
)
けて
来
(
き
)
たらしい
嵐
(
あらし
)
が、
袂
(
たもと
)
をひら/\と
煽
(
あふ
)
つて、
颯
(
さつ
)
と
炉傍
(
ろばた
)
へ
吹込
(
ふきこ
)
むと、
燈
(
ともしび
)
が
下伏
(
したぶせ
)
に
暗
(
くら
)
く
成
(
な
)
つて、
炉
(
ろ
)
の
中
(
なか
)
が
明
(
あかる
)
く
燃
(
も
)
える。これが
赫
(
くわつ
)
と、
壁
(
かべ
)
に
並
(
なら
)
んだ
提灯
(
ちやうちん
)
の
箱
(
はこ
)
に
映
(
うつ
)
る、と
温泉
(
いでゆ
)
の
薫
(
かをり
)
が
芬
(
ぷん
)
とした。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私の父は、彼が湯から出て、また
炉傍
(
ろばた
)
に座って身体を揺り始めた時、やさしいいたわるような
声色
(
こわいろ
)
で訊いた。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
それっきり夜おそくまで帰らず、
猫
(
ねこ
)
は
鼠
(
ねずみ
)
を取る事をたいぎがって、寝たまま
炉傍
(
ろばた
)
に糞をたれ、家は
蜘蛛
(
くも
)
の巣だらけ庭は草
蓬々
(
ぼうぼう
)
、以前の秩序は見る影も無くこわされて、
旦那
(
だんな
)
はまた、上方に於いて
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
爺さんは、むっつりと、苦虫を噛みつぶしたような面構えで、
炉傍
(
ろばた
)
に煙草を
燻
(
ふ
)
かしていた。弟の庄吾は、婆さんの手伝いで、
尻端折
(
しりはしょ
)
りになって
雑巾
(
ぞうきん
)
掛
(
が
)
けだった。
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
嫁はまだ起きていて、
炉傍
(
ろばた
)
で縫い物をしていました。
嘘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
重苦しい雰囲気の中で、三人は黙り続けていたが、長作は煙草入れを腰にさして
炉傍
(
ろばた
)
を立った。
山茶花
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
市平は長靴を脱ぎ、
炉傍
(
ろばた
)
にあぐらをかいて、巻き煙草を
燻
(
くゆ
)
らしているところであった。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
炉
常用漢字
中学
部首:⽕
8画
傍
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
“炉”で始まる語句
炉
炉辺
炉端
炉縁
炉棚
炉側
炉部屋
炉中
炉格
炉火