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濕地
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しつち
また、それだけに
釣がうまい。
素人にはむづかしいといふ、
鰻釣の
絲捌きは
中でも
得意で、
一晩出掛けると
濕地で
蚯蚓を
穿るほど
一かゞりにあげて
來る。
また
谷や
濕地や、
瀧や
湖沼の
附近には、
特殊な
草木がしげり、
高原にはそこにのみ
育つ
植物がはえてゐます。
次ぎに
草原の
濕地は『
腐植土』といつて、
植物が
枯れて、
根や
枝や
葉が
腐つた
肥料になつてゐるような
土に
富み、
水分も
多いので、
植物の
生育には
大變都合がよいため
ものの
色もすべて
褪せて、
其灰色に
鼠をさした
濕地も、
草も、
樹も、一
部落を
蔽包むだ
夥多しい
材木も、
材木の
中を
見え
透く
溜池の
水の
色も、
一切、
喪服を
着けたやうで、
果敢なく
哀である。