そゞろ)” の例文
し出たるのち淨水てうづこまをりから斯々かく/\の娘を見染ぬ世に二個となき美人なればそゞろに戀しく思ひつゝ此美婦人このびふじんくらぶれば櫻もいかで物かはと花見を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そゞろ昨夜さくや憶起おもひおこして、うたた恐怖の念にへず、斯くと知らば日のうちに辞して斯塾を去るべかりし、よしなき好奇心に駆られし身は臆病神の犠牲となれり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
温泉いでゆ宿やどして、じやうぬまから引返ひきかへ途中とちゆうは、そゞろに、ぐにもはじむべき——いなすで何等なにらそれむかつてはたらく……あらた事業じげふたいする感興かんきようくもるやう、かひなはねつて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)