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湿々
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じめじめ
ふりがな文庫
“
湿々
(
じめじめ
)” の例文
旧字:
濕々
枕は
脂染
(
あぶらじ
)
みた木枕で、気味も悪く頭も痛い。私は持合せの手拭を巻いて
支
(
か
)
った。布団は垢で
湿々
(
じめじめ
)
して、何ともいえない臭がする。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「同じ酒を
酌
(
く
)
むなら、どこか、広濶な天地へ出て酌みましょう。
湿々
(
じめじめ
)
した谷間にかくれていたので、暗い所は閉口ですから」
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それも如才なく、
昨夜
(
ゆうべ
)
のうちに見ておきましたよ。雨戸は中から締っているし、
湿々
(
じめじめ
)
した軒下に足跡一つねえ」
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
切り
拓
(
ひら
)
いた地面に二
棟
(
むね
)
四軒の
小体
(
こてい
)
な家が、ようやく壁が乾きかかったばかりで、裏には
鉋屑
(
かんなくず
)
などが、雨に
濡
(
ぬ
)
れて石炭殻を敷いた
湿々
(
じめじめ
)
する地面に
粘
(
へば
)
り着いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
界隈
(
かいわい
)
の景色がそんなに
沈鬱
(
ちんうつ
)
で、
湿々
(
じめじめ
)
として居るに
従
(
したご
)
うて、住む者もまた
高声
(
たかごえ
)
ではものをいわない。
歩行
(
あるく
)
にも
内端
(
うちわ
)
で、
俯向
(
うつむ
)
き
勝
(
がち
)
で、豆腐屋も、
八百屋
(
やおや
)
も黙って通る。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
加賀野新小路の
親縁
(
みより
)
の家では、市役所の衛生係なる伯父が出勤の後で、痩せこけた伯母の出して呉れた麦煎餅は、昨日の雨の香を留めたのであらう、少なからず
湿々
(
じめじめ
)
して居た。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「なんだか夜中などに目をさますと、空気が
湿々
(
じめじめ
)
していて、心もちが悪くなります。」
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼は綾瀬口の渡しを越えて向う河岸の
枯蘆
(
かれあし
)
の間に身を潜めながら、農科の艇の漕ぎ下るのを待っていた。妙な緊張した不安に襲われながら、彼は少し
湿々
(
じめじめ
)
した土地に腰を下ろして夕日の中に
蹲
(
うずく
)
まった。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
伸びる盛りの肉体だった、武蔵の
弾傷
(
たまきず
)
がすっかり
癒
(
なお
)
る頃には、又八はもう
薪
(
まき
)
小屋の
湿々
(
じめじめ
)
した暗闇に、じっと
蟋蟀
(
こおろぎ
)
のような辛抱はしていられなかった。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ね、旦那、先代の大旦那が亡くなられてから、もう一年以上経っているでしょう、いつまでも
湿々
(
じめじめ
)
していたって、追善供養の足しになるわけじゃありません。
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
燥
(
はしゃ
)
ぎきった
廂
(
ひさし
)
にぱちぱちと音がして、二時ごろ雨が降って来た。その音にお庄は目をさまして、急いで高い
物干竿
(
ものほしざお
)
にかかっていた洗濯物を取り入れた。中にはまだ
湿々
(
じめじめ
)
しているのもあった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
思わずひと足
退
(
の
)
いて、うす暗い——表の客座敷とは較べものにならない
湿々
(
じめじめ
)
した古畳のうえを見た。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
湿々
(
じめじめ
)
として、うす暗い東大寺の横を通って来た時、襟元にポタリと落ちた
雫
(
しずく
)
にも、きゃっと思わずいってしまいそうな驚きをしたし、人間の
跫音
(
あしおと
)
に怖がらない
鴉
(
からす
)
の群れにも、いやな気持がして
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昼間だが、所々に、燭が置かれ、
湿々
(
じめじめ
)
とまたたいていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
湿
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
々
3画
“湿”で始まる語句
湿
湿気
湿地
湿潤
湿布
湿疹
湿地茸
湿瘡
湿婆
湿度